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TSUNAGU — SUCCESSION GUIDE

全国共通の実務ガイド

温泉権・採取許可・利用許可の引き継ぎ

源泉の所有や引湯契約と、掘削・採取・ガス確認・利用の行政手続を分けて引継ぎを調べます。

財産と許可
別々に確認
採取とガス確認
異なる制度
公共の浴用・飲用
利用許可の対象

Context, with sources

次の担い手へ、手続を確かに。

温泉付きの旅館を取得するときは、「温泉権」という一語で対象をまとめないことが重要です。源泉地の所有、採取や引湯を行う契約上の権利、温泉法の許可・確認は、それぞれ取得根拠と手続が異なります。旅館業の事業譲渡承認を得ても、温泉関係の手続が一括して完了するわけではありません。

最初に源泉番号、所在地、採取者、供給者、利用施設を対応させます。自家源泉なのか、組合や第三者から引湯するのかによって確認する契約も変わります。採取許可を受けた源泉と、可燃性天然ガス濃度確認を受けた源泉では、承継制度の扱いも分けて検討します。

At a glance

ひと目でわかる、温泉権・採取許可・利用許可の引き継ぎ。

要点・対象時点・確認範囲
項目確認できる内容対象時点・範囲
掘削・増掘・動力源泉の開発やポンプ等の計画に関する許可を確認。[1]計画・工事前
温泉法上の開発行為
採取採取許可または可燃性天然ガス濃度確認のどちらを受けた源泉か確認。[2]採取開始・主体変更時
反復継続する温泉の採取
ガス濃度確認の承継採取事業全部の譲渡等に伴う承継届の制度がある。[3]承継時
温泉法14条の6の確認
利用許可公共の浴用・飲用は利用許可を別に確認する。[1]利用開始・主体変更時
旅館・浴場等の温泉利用
法人の利用許可承継利用事業全部を引き継ぐ合併・分割に関する承認制度。[4]合併・分割時
温泉法16条1項
私法上の権利所有、地役・賃借、引湯、供給量、組合規約等を契約と登記で確認。[5]取得の調査時
対象取引の権利関係
01

源泉から浴槽まで、権利と設備をつなぐ

源泉、揚湯設備、引湯管、貯湯槽、利用施設を一つの図にし、所有者と許可名義を重ねます。宿の敷地外に源泉や管路がある場合は、その場所を使い続ける根拠も必要です。[5][1]

土地建物の売買契約に源泉が含まれていても、供給組合との契約や第三者の土地を通る管路の使用条件は別に確認します。どこまで売主の権利で、どこから供給者や隣地権者の合意が必要かを、既存の契約書と図面で整理します。

行政手続では、温泉を採取する権原を示す書類を求める地域の例があります。しかし、権原を証明したことと許可を受けたことは同じではありません。私法上の利用可能性と行政上の利用可否の両方を、引渡しの条件として点検します。

02

採取許可とガス濃度確認を区別する

温泉の採取には、可燃性天然ガス災害を防ぐための許可または濃度確認の制度があります。許可書と確認書は名称が似ていても、同じ書類として扱えません。[2]

環境省は、反復継続して温泉をくみ上げる際、温泉法14条の2の採取許可、または14条の5の可燃性天然ガス濃度確認を受ける必要があると案内しています。源泉ごとに、いずれの手続を受け、現在の採取者が誰かを確認しましょう。

ガス分離設備や配管、点検記録がある場合は、許可時の設備と現況の一致も調べます。源泉名だけでは必要な災害防止措置は分かりません。譲受後の採取方法や設備を変えるときは、主体変更の手続と併せて計画を示します。

03

売買と合併・分割・相続を同じ承継としない

温泉法の承継は、許可や確認の種類と、承継の原因で扱いが変わります。一般の事業売買を、合併・分割の承認書だけで処理できるとは限りません。[3][4][5]

環境省は、可燃性天然ガス濃度確認を受けた採取事業の全部を譲り受けた者などについて、地位承継の届出を案内しています。一方、温泉利用許可について公表する法人の承継制度は、利用事業全部を引き継ぐ合併・分割の承認です。

神奈川県も、営業譲渡や施設売却で他法人へ移る場合は、合併・分割の承継対象にならず新規許可が必要と案内しています。この例を踏まえ、案件では各許可書・確認書を窓口へ示し、新規、承認、届出のどの経路を使うか個別に確認します。

項目確認内容
採取のガス濃度確認採取事業全部の譲渡等について承継届の対象を確認
温泉利用許可合併・分割の承認と一般売買の新規許可を区別
源泉の所有・採取権権原の取得と行政手続を別に整理
04

旅館の浴場と飲泉は、利用施設の許可を確認する

温泉を公共の浴用または飲用に供する場合は利用許可を確認します。源泉を適切に採取していても、宿の利用施設の許可が自動的に整うものではありません。[1]

浴場の所在地、利用する源泉、名義、浴用か飲用かを許可書で確認します。旅館業と公衆浴場業の許可も別制度です。足湯や外来入浴を新設するときは、どの制度に該当するかを利用計画とともに説明することが必要です。

登録分析機関の成分分析、掲示内容、加水・加温や循環等の利用状況に関する表示も引継ぎの確認対象です。分析書の写しだけを受け取らず、対象源泉と浴場を対応させ、現地の掲示や管理記録が一致しているかを確かめます。

05

供給量と維持管理の条件を契約で確認する

行政上の利用許可だけでは、引湯の供給量や将来の設備費用は決まりません。供給契約や組合規約、配管の管理分担を確認し、営業計画が成り立つ条件を整理します。[5][1]

必要な書類として、引湯契約、使用料の請求履歴、供給の停止条件、配管図、源泉やポンプの管理記録が考えられます。これは調査項目の提案であり、すべての地域で同じ契約類型や必要書類が法定されているという意味ではありません。

毎分の供給量などが契約に記載されている場合は、契約値と実際の記録を分けます。源泉の状態や供給者の条件を確認せず、客室風呂を増やしても必ず供給が足りるといった説明はできません。増設計画は供給者と行政双方へ確認しましょう。

06

引渡し前に、必要な許可と継続利用の条件を揃える

温泉の引継ぎは、一枚の名義変更で終わるとは限りません。権利、採取、利用、設備変更ごとの担当と未了事項を一覧にし、旅館業の日程と並行して確認します。[2][4][5]

源泉側の窓口と浴場側の窓口が異なる地域では、双方へ同じ事実を説明できる資料を用意します。許可・確認番号、対象場所、旧新の主体、予定日、設備変更の有無をまとめると、手続の取り違えを防げます。

売主が保管する図面や分析、契約が見つからない場合は、取得先と再確認の方法を記録します。書類がないことから直ちに権利不存在を断定せず、逆に現在営業していることだけで適法な継続利用を保証することもせず、確認できた範囲で取引条件を整えます。

宿・ホテルの記憶を、次代へ

この土地で続けること。
次の担い手に、つなぐこと。

地域の需要、許可の条件、設備の状態を整理すると、売却・購入・運営の選択肢を具体的に考えられます。ご自身の条件を記録するところからでも、担当者へのご相談からでも始められます。

Questions & answers

よくある質問

温泉権付きなら許可も付いてきますか?

所有や契約上の権利と温泉法の許可・確認は別です。源泉の権原を取得しても、採取や利用の主体変更について新規許可、承認、届出のどれが必要かを確認します。[5][1]

事業譲渡で使える承継届はありますか?

可燃性天然ガス濃度確認を受けた採取事業全部の譲渡等には地位承継届の制度があります。これを採取許可や温泉利用許可へ一律に当てはめることはできません。[3][4]

旅館業の承認を受けたら温泉の利用も可能ですか?

旅館業と温泉法は別制度です。公共の浴用・飲用には利用許可を確認し、源泉側の採取許可またはガス濃度確認も別に調べます。[1][6]

最初に必要な資料は何ですか?

源泉と利用施設の場所、許可・確認書、温泉分析書、供給契約、管路図、設備管理記録を対応させます。地域の窓口へ主体変更と改修の予定を示し、正式な必要書類を確認します。[5][1]

Sources & scope

出典と、確認した範囲。

編集・構成:TSUNAGU。公的統計、法令、自治体・交通機関等の公表資料を読み合わせた編集記事です。原統計の作成者・許認可の所管機関は各出典に記載しています。独自の実地調査や個別案件の法的判断を示すものではありません。

  1. 温泉法の概要 ↗

    環境省|対象:確認時点の公開案内|確認:2026-10-27

    掘削・増掘・動力、採取許可とガス濃度確認、公共浴用・飲用の利用許可と成分掲示。ページ記載の古い最終改正日を現行法全体の最新改正日と解釈しない。

  2. 温泉をくみ上げている方、温泉をくみ上げようとする方は手続きが必要です ↗

    環境省|対象:2008年10月1日施行制度の案内|確認:2026-10-27

    採取許可と可燃性天然ガス濃度確認の違い、新規採取前の手続。旧事業者の2009年経過期限を現在の申請期限としない。

  3. 確認を受けた者の地位の承継の届出 ↗

    環境省|対象:温泉法14条の6・確認時点|確認:2026-10-27

    ガス濃度確認に係る採取事業全部の譲渡・相続・合併分割の承継届出。採取許可や利用許可と同一制度ではない。

  4. 温泉の利用の許可を受けた者である法人の合併及び分割の承認の申請 ↗

    環境省|対象:温泉法16条1項・確認時点|確認:2026-10-27

    利用事業全部を引き継ぐ法人の合併・分割の承認。一般の事業売買の包括的承継根拠ではない。

  5. 温泉関係の手続きについて(変更等の手続き) ↗

    神奈川県|対象:確認時点の公開手続|確認:2026-10-27

    温泉所有・採取権と許可、ガス濃度確認承継の区別、事業売買で承継対象外となる許可と新規申請。部数等は神奈川県の運用例。

  6. 旅館業の営業者の皆さまへ・事業譲渡に関する手続が整備されます ↗

    厚生労働省|対象:2023年12月13日施行|確認:2026-10-27

    全2頁。譲渡効力発生前の承認、対象許可事業の一部譲渡の対象外、許可条件と増改築の取扱い。全国一律の処理日数・費用は示さない。