源泉から浴槽まで、権利と設備をつなぐ
土地建物の売買契約に源泉が含まれていても、供給組合との契約や第三者の土地を通る管路の使用条件は別に確認します。どこまで売主の権利で、どこから供給者や隣地権者の合意が必要かを、既存の契約書と図面で整理します。
行政手続では、温泉を採取する権原を示す書類を求める地域の例があります。しかし、権原を証明したことと許可を受けたことは同じではありません。私法上の利用可能性と行政上の利用可否の両方を、引渡しの条件として点検します。
採取許可とガス濃度確認を区別する
環境省は、反復継続して温泉をくみ上げる際、温泉法14条の2の採取許可、または14条の5の可燃性天然ガス濃度確認を受ける必要があると案内しています。源泉ごとに、いずれの手続を受け、現在の採取者が誰かを確認しましょう。
ガス分離設備や配管、点検記録がある場合は、許可時の設備と現況の一致も調べます。源泉名だけでは必要な災害防止措置は分かりません。譲受後の採取方法や設備を変えるときは、主体変更の手続と併せて計画を示します。
売買と合併・分割・相続を同じ承継としない
環境省は、可燃性天然ガス濃度確認を受けた採取事業の全部を譲り受けた者などについて、地位承継の届出を案内しています。一方、温泉利用許可について公表する法人の承継制度は、利用事業全部を引き継ぐ合併・分割の承認です。
神奈川県も、営業譲渡や施設売却で他法人へ移る場合は、合併・分割の承継対象にならず新規許可が必要と案内しています。この例を踏まえ、案件では各許可書・確認書を窓口へ示し、新規、承認、届出のどの経路を使うか個別に確認します。
旅館の浴場と飲泉は、利用施設の許可を確認する
浴場の所在地、利用する源泉、名義、浴用か飲用かを許可書で確認します。旅館業と公衆浴場業の許可も別制度です。足湯や外来入浴を新設するときは、どの制度に該当するかを利用計画とともに説明することが必要です。
登録分析機関の成分分析、掲示内容、加水・加温や循環等の利用状況に関する表示も引継ぎの確認対象です。分析書の写しだけを受け取らず、対象源泉と浴場を対応させ、現地の掲示や管理記録が一致しているかを確かめます。
供給量と維持管理の条件を契約で確認する
必要な書類として、引湯契約、使用料の請求履歴、供給の停止条件、配管図、源泉やポンプの管理記録が考えられます。これは調査項目の提案であり、すべての地域で同じ契約類型や必要書類が法定されているという意味ではありません。
毎分の供給量などが契約に記載されている場合は、契約値と実際の記録を分けます。源泉の状態や供給者の条件を確認せず、客室風呂を増やしても必ず供給が足りるといった説明はできません。増設計画は供給者と行政双方へ確認しましょう。
引渡し前に、必要な許可と継続利用の条件を揃える
源泉側の窓口と浴場側の窓口が異なる地域では、双方へ同じ事実を説明できる資料を用意します。許可・確認番号、対象場所、旧新の主体、予定日、設備変更の有無をまとめると、手続の取り違えを防げます。
売主が保管する図面や分析、契約が見つからない場合は、取得先と再確認の方法を記録します。書類がないことから直ちに権利不存在を断定せず、逆に現在営業していることだけで適法な継続利用を保証することもせず、確認できた範囲で取引条件を整えます。
Questions & answers
よくある質問
温泉権付きなら許可も付いてきますか?
所有や契約上の権利と温泉法の許可・確認は別です。源泉の権原を取得しても、採取や利用の主体変更について新規許可、承認、届出のどれが必要かを確認します。
事業譲渡で使える承継届はありますか?
可燃性天然ガス濃度確認を受けた採取事業全部の譲渡等には地位承継届の制度があります。これを採取許可や温泉利用許可へ一律に当てはめることはできません。
旅館業の承認を受けたら温泉の利用も可能ですか?
旅館業と温泉法は別制度です。公共の浴用・飲用には利用許可を確認し、源泉側の採取許可またはガス濃度確認も別に調べます。
最初に必要な資料は何ですか?
源泉と利用施設の場所、許可・確認書、温泉分析書、供給契約、管路図、設備管理記録を対応させます。地域の窓口へ主体変更と改修の予定を示し、正式な必要書類を確認します。