現状で渡す範囲を図面と一覧で示す
客室、浴場、厨房、機械室、外構、源泉等について、使用中、休止中、故障、応急処置、未調査を区分します。写真には撮影日と場所を付け、漏水や不具合の記録を図面の位置へ対応させます。
売主が知っている事実、専門家が調査した範囲、資料がないため確認できない事項を混在させないようにします。未調査を問題なしと表示せず、買主が追加調査を行える範囲と時期を決めます。
現況の合意と契約上の責任を分ける
東京都の手引きは、特約によるリスク分担と、知りながら告げなかった場合や適用法による制限等を説明しています。一般的な解説をそのままホテル売買の契約条項にせず、具体的な状態と当事者に合わせて専門家が確認します。
不具合の説明書、設備表、調査報告と売買契約に食い違いがないかを照合します。どの状態を契約内容とするか、追加発見の際にどう扱うか、引渡し前後の管理を合意し、短い免責文言だけに判断を委ねません。
直す前の調査で価格交渉の前提をそろえる
雨漏り、外壁、耐震、石綿、給湯、空調、温泉配管等のうち、どこまで調査するかを決めます。既存確認図書、検査、点検、修繕履歴をそろえ、追加調査の対象と費用負担、破壊調査後の復旧を合意します。
修繕見積は、売主の原状回復案と買主の事業転換案で目的が異なります。同じ範囲の見積と、買主が追加する改装を分けると、必要な修繕費と新しい運営の投資を混同せずに比較できます。
営業を引き継ぐ契約と資産の取引を照合する
旅館業の事業譲渡には、所定の事前承認による営業者の地位承継の制度があります。既存の営業と施設の範囲、買主の運営変更、引渡し・承認の日程を管轄保健所等と整理します。
温泉の供給契約や設備保守、予約管理サービスは、所有者が変わるだけで同条件の継続ができるとは限りません。契約主体、承諾、名義変更、料金、解約条件を確認し、営業開始までに必要な対応を別表にします。
契約から引渡しまでの故障・休止を決めておく
使用を続ける設備は、定期点検、燃料、水道、電源等を誰が維持するかを定めます。休止する場合は排水や保温等の保全、鍵、立入管理、再開調査が必要かを確認し、引渡しの状態を記録します。
故障が発生したときの通知、応急対応、修繕、見積、契約条件への反映を決めます。買主が予定する工事を理由に既設設備の管理を放置するのではなく、実際の引渡しまで管理する範囲を明示します。
取得後の負担を、工事と資金の時期で比較する
見積で確定した工事と、追加調査後に決まる工事を区別します。休館や減室、備品、許可、スタッフ教育、再開時の検査等の支出も工程に結び付け、支払が集中する時期を確認します。
売主が修繕して渡す案と買主が取得後に施工する案では、工期、仕様決定、保証、事業転換の自由度が異なります。状態の記録と負担の合意をそろえ、どちらの案を選ぶかを具体的な資料で判断します。
Questions & answers
よくある質問
現状有姿と書けば売主の責任はなくなりますか。
その言葉だけでは判断できません。契約内容、特約、告知、当事者と適用法等により確認が必要です。物件の具体的な状態に合わせて条項を整理します。
修繕せず売るなら調査も不要ですか。
調査と修繕は別です。資料と状態、未調査部分を整理することで、買主が工事と負担を具体的に検討できます。
不動産だけ買って同じ旅館を続けられますか。
営業者の地位承継、許可、供給・保守・予約等の契約を別に確認する必要があります。不動産の取得だけで自動的に継続条件が整うわけではありません。
修繕費は買主の改装費と同じですか。
必要な不具合対応と、業態転換や設備追加の投資を分けます。同じ工事範囲の見積と追加計画を区別して比較します。