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TSUNAGU — RENEWAL GUIDE

全国共通の実務ガイド

修繕前の現状有姿売買

直す前に売るという選択を、曖昧なままにしない。状態、資料、負担をそろえて現状有姿の取引を考えます。

整理するもの
現況・資料・未確認事項
合意するもの
範囲・負担・日程・責任
営業の承継
不動産取得と別に確認

Context, with sources

建物と運営の、次のかたちへ。

修繕前の現状有姿売買では、現在の状態で引き渡す範囲と、契約で合意する品質・負担・責任を具体化します。「現状有姿」という短い言葉だけで、すべての不具合や手続の扱いが決まるわけではありません。

宿泊施設は建物、設備、営業許可、温泉、契約、予約等が重なります。直さず渡す選択でも、確認できた事実と未調査部分、引渡しまでの管理、取得後の工事を分けることが、売主・買主の判断材料になります。

At a glance

ひと目でわかる、修繕前の現状有姿売買。

要点・対象時点・確認範囲
項目確認できる内容対象時点・範囲
契約の確認状態の合意と契約不適合責任・特約を整理[1]2026年10月27日確認
個別の宿泊施設・計画ごとに確認
建物調査図書、法適合、増改築、未調査範囲を確認[2]2026年10月27日確認
個別の宿泊施設・計画ごとに確認
設備調査機器台帳、点検、故障、保守契約を整理[3]2026年10月27日確認
個別の宿泊施設・計画ごとに確認
営業の引継ぎ事業譲渡の承認等を不動産引渡しと区別[5]2026年10月27日確認
個別の宿泊施設・計画ごとに確認
工事前提石綿等の調査と修繕見積の確定範囲を明示[4]2026年10月27日確認
個別の宿泊施設・計画ごとに確認
01

現状で渡す範囲を図面と一覧で示す

現状有姿の取引でも、何を引き渡すのかを具体的に確かめる必要があります。土地建物、設備、備品、在庫、残置物、第三者所有物を分けて一覧にします。[3][2][1]

客室、浴場、厨房、機械室、外構、源泉等について、使用中、休止中、故障、応急処置、未調査を区分します。写真には撮影日と場所を付け、漏水や不具合の記録を図面の位置へ対応させます。

売主が知っている事実、専門家が調査した範囲、資料がないため確認できない事項を混在させないようにします。未調査を問題なしと表示せず、買主が追加調査を行える範囲と時期を決めます。

02

現況の合意と契約上の責任を分ける

契約不適合責任と特約の内容は、当事者の属性や適用法も踏まえて確認します。現状で引き渡すという合意と、責任の免除・範囲・期間の合意を同じものとして扱わないことが大切です。[1]

東京都の手引きは、特約によるリスク分担と、知りながら告げなかった場合や適用法による制限等を説明しています。一般的な解説をそのままホテル売買の契約条項にせず、具体的な状態と当事者に合わせて専門家が確認します。

不具合の説明書、設備表、調査報告と売買契約に食い違いがないかを照合します。どの状態を契約内容とするか、追加発見の際にどう扱うか、引渡し前後の管理を合意し、短い免責文言だけに判断を委ねません。

03

直す前の調査で価格交渉の前提をそろえる

修繕前に売る場合も、建物・設備の状態が分かれば、買主の改修案を具体化できます。すべてを修繕することと、必要な調査・資料を用意することは別です。[2][3][4]

雨漏り、外壁、耐震、石綿、給湯、空調、温泉配管等のうち、どこまで調査するかを決めます。既存確認図書、検査、点検、修繕履歴をそろえ、追加調査の対象と費用負担、破壊調査後の復旧を合意します。

修繕見積は、売主の原状回復案と買主の事業転換案で目的が異なります。同じ範囲の見積と、買主が追加する改装を分けると、必要な修繕費と新しい運営の投資を混同せずに比較できます。

確認する項目図面・見積書に記す内容
既存状態故障、漏水、休止、修繕・点検記録
調査範囲対象、方法、未調査、追加確認
工事範囲必要修繕と事業転換の追加工事
04

営業を引き継ぐ契約と資産の取引を照合する

建物を取得することと、宿泊事業を承継することは別です。営業を続ける計画では、許可、温泉供給、保守、予約、決済、リース等の引継ぎを確認します。[5][3][2]

旅館業の事業譲渡には、所定の事前承認による営業者の地位承継の制度があります。既存の営業と施設の範囲、買主の運営変更、引渡し・承認の日程を管轄保健所等と整理します。

温泉の供給契約や設備保守、予約管理サービスは、所有者が変わるだけで同条件の継続ができるとは限りません。契約主体、承諾、名義変更、料金、解約条件を確認し、営業開始までに必要な対応を別表にします。

05

契約から引渡しまでの故障・休止を決めておく

契約時と引渡し時に設備の状態が変わることがあります。引渡しまでの営業、保守、故障、災害、休館の扱いを、責任と連絡方法を含めて合意します。[3][1]

使用を続ける設備は、定期点検、燃料、水道、電源等を誰が維持するかを定めます。休止する場合は排水や保温等の保全、鍵、立入管理、再開調査が必要かを確認し、引渡しの状態を記録します。

故障が発生したときの通知、応急対応、修繕、見積、契約条件への反映を決めます。買主が予定する工事を理由に既設設備の管理を放置するのではなく、実際の引渡しまで管理する範囲を明示します。

06

取得後の負担を、工事と資金の時期で比較する

買主は取得費だけでなく、調査・修繕・改装・開業準備・運転資金を分けて確認します。状態の不確実さを根拠のない値引き率や改修単価へ置き換えないようにします。[6][3][2]

見積で確定した工事と、追加調査後に決まる工事を区別します。休館や減室、備品、許可、スタッフ教育、再開時の検査等の支出も工程に結び付け、支払が集中する時期を確認します。

売主が修繕して渡す案と買主が取得後に施工する案では、工期、仕様決定、保証、事業転換の自由度が異なります。状態の記録と負担の合意をそろえ、どちらの案を選ぶかを具体的な資料で判断します。

宿・ホテルの記憶を、次代へ

この土地で続けること。
次の担い手に、つなぐこと。

地域の需要、許可の条件、設備の状態を整理すると、売却・購入・運営の選択肢を具体的に考えられます。ご自身の条件を記録するところからでも、担当者へのご相談からでも始められます。

Questions & answers

よくある質問

現状有姿と書けば売主の責任はなくなりますか。

その言葉だけでは判断できません。契約内容、特約、告知、当事者と適用法等により確認が必要です。物件の具体的な状態に合わせて条項を整理します。[1]

修繕せず売るなら調査も不要ですか。

調査と修繕は別です。資料と状態、未調査部分を整理することで、買主が工事と負担を具体的に検討できます。[2][3]

不動産だけ買って同じ旅館を続けられますか。

営業者の地位承継、許可、供給・保守・予約等の契約を別に確認する必要があります。不動産の取得だけで自動的に継続条件が整うわけではありません。[5]

修繕費は買主の改装費と同じですか。

必要な不具合対応と、業態転換や設備追加の投資を分けます。同じ工事範囲の見積と追加計画を区別して比較します。[3][6]

Sources & scope

出典と、確認した範囲。

編集・構成:TSUNAGU。公的統計、法令、自治体・交通機関等の公表資料を読み合わせた編集記事です。原統計の作成者・許認可の所管機関は各出典に記載しています。独自の実地調査や個別案件の法的判断を示すものではありません。

  1. 不動産取引の手引き10 引渡し後に不具合・欠陥が… ↗

    東京都住宅政策本部|対象:2026年10月27日確認|確認:2026-10-27

    契約不適合責任と特約、告知、適用法による制限等の一般的説明。個別のホテル売買の契約判断ではない。

  2. 既存建築物の活用の促進について ↗

    国土交通省|対象:現況調査ガイドライン第5版・緩和措置解説集第4版等、確認日時点|確認:2026-10-27

    既存建物の法適合状況調査と増築・用途変更・大規模修繕時の扱い。緩和が自動適用されるとはしない。

  3. 建築保全業務共通仕様書 令和5年版 ↗

    国土交通省|対象:2023年11月8日改定|確認:2026-10-27

    官庁施設の保全委託仕様。宿泊施設の点検項目の整理に参照し、民間施設に一律の義務・更新年数を定める資料とは扱わない。

  4. 小規模工事等の着工前に必要な手続きについて ↗

    厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト|対象:確認日時点|確認:2026-10-27

    規模にかかわらない改修等対象建材の事前調査、一定工事の結果報告、資格要件。

  5. 旅館業の営業者の皆さまへ―事業譲渡に関する手続が整備されます ↗

    厚生労働省|対象:2023年12月13日施行|確認:2026-10-27

    事業譲渡時の事前承認による営業者地位承継。不動産取得だけで承認・営業許可が移転する制度ではない。

  6. 創業計画書セルフチェック―資金計画 ↗

    日本政策金融公庫|対象:2026年10月27日確認|確認:2026-10-27

    設備資金・運転資金、見積と調達方法の確認。飲食店記入例の金額や資金期間を宿泊施設の相場として用いない。