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温泉の熱を、宿の運営に生かす|排湯熱回収・浴場の使い方・更新費

浴場から出ていく温かい湯には、給湯や暖房へ渡せる熱が残っている場合があります。その可能性は、源泉の温度だけでは決まりません。流量、湯を使う時間、配管の距離、設備の手入れを調べ、浴場の使い方と熱の利用を一緒に考えます。最初の仕事は、設備を選ぶ前に、宿の熱の流れを測ることです。

01

現況を測る

02

条件をそろえる

03

費用と運用を比べる

01 / PRACTICAL GUIDE

温度・流量・使用量・燃料費を測る

設備担当は源泉、貯湯、浴槽への供給、排湯の温度と流量を記録します。図面の流れと現場の配管を合わせ、営業中と清掃中、朝夕と夜間で値がどう変わるか調べます。環境省の手引きも、既存記録の収集と、未計測箇所の実測を示しています。

経理担当は燃料と電力の使用量、料金、宿泊数、浴場の営業時間を月ごとにそろえます。温かい排湯があっても、使う側の給湯や暖房と時間が合うかが重要です。繁忙日だけで機器を選ばず、季節ごとの熱需要と供給を重ねて計画します。[OPSX3][OPSX2]

02 / PRACTICAL GUIDE

浴場の容量と営業・清掃時間

大浴場と貸切風呂では、利用する人数、予約枠、入替えの仕事が変わります。貸切を考えるなら、利用時間に加え、退出確認、清掃、湯張り、点検の時間を一枠へ含めます。浴場責任者が一日の予約表を作り、必要な給湯量と担当者を見積もります。

貸切は利用の形であり、温泉の利用許可や浴場の衛生管理を省く理由にはなりません。宿泊者専用か日帰り利用も扱うかを保健所へ示し、営業の手続と管理方法を整理します。浴場責任者は換水、清掃、消毒、水質確認を日々の手順へ置きます。[L18][L15][OPSX4][L29]

03 / PRACTICAL GUIDE

排湯熱回収とヒートポンプの仕組み

排湯熱を使う計画では、熱交換器で熱を別の水の系統へ渡し、給水の予熱などに生かす方法を検討します。ヒートポンプを加える方式では、必要な温度へ引き上げる電力も使います。設計者が供給できる熱と追加電力を分けて見積もります。

星のや軽井沢には、水力や温泉排湯熱、地中熱などを組み合わせる実例があります。公表された消費エネルギー自給率68%は2017年時点の値です。排湯熱だけの削減率へ置き換えず、自館で回収した熱と実際に減った燃料を測って評価します。[OPSX2][OPSX3][O27]

04 / PRACTICAL GUIDE

泉質・腐食・スケール・保守と排水

温泉や排湯の成分に合う材質、熱交換器の清掃方法、点検スペースを設計者と決めます。詰まりや腐食を見つけた時に止める系統と、浴場へ給湯を続ける予備熱源も用意します。設備担当が交換部品と点検周期を台帳に残し、保守費を年間計画へ入れます。

温泉法の公共浴用の利用許可、旅館業や公衆浴場の手続、衛生管理は、それぞれ別の確認です。利用者や配管を変える計画と許可証を温泉担当窓口へ示し、変更の扱いを相談します。熱回収設備を付けても、浴槽水や排水の管理は引き続き必要です。[OPSX2][OPSX3][L29][L30][L15][OPSX4]

05 / PRACTICAL GUIDE

工事・補助金・停止期間を組む

工事工程は、調査、設計、行政相談、見積、資金、発注、施工、試運転の順で組みます。休業が必要な浴場と客室を販売カレンダーへ反映し、代替の入浴案内も準備します。所有者と支配人が、工事中の売上と固定費を月次資金繰りへ置きます。

補助金を検討する場合は、対象設備、申請者、締切、発注や着工の順序をその制度の要領で確かめます。過去に補助を受けた設備は処分制限も調べます。採択と入金を別の時点で考え、補助がなくても支払える投資の範囲を決めておきます。[OPSX3][F7][F39][F40]

06 / PRACTICAL GUIDE

季節別の熱量と費用で導入後を検証する

試運転では回収側と利用側の温度、流量、追加電力を計測し、設計時の値と比べます。点検担当は水漏れ、詰まり、制御の切替えも確認します。設備が動いた日だけでなく、停止日や清掃日を含む記録から、一年間の使われ方を追います。

効果は燃料の減少額から、追加電力、薬剤、清掃、保守を引いて評価します。外気温、宿泊数、浴場の利用時間が違う月は条件をそろえて読みます。単純な回収年数を入口に、更新費、故障、借入返済も置き、所有者が次の投資を判断します。[OPSX2][OPSX3][F8][F9]

COMPARE THE OPTIONS

選択肢を、同じ条件で比べる。

方式ごとの実務上の違い
選択肢初期の仕事・費用日常の費用と担当適用条件・検証点
営業時間・運用の調整利用状況調査、案内、制御調整浴場担当の清掃・点検利用体験、湯量、熱需要の変化
貸切枠への組替え動線、予約枠、設備、必要な手続入替清掃、給湯、退出確認利用対象、衛生管理、予約数と原価
熱交換による予熱熱交換器、配管、施工、計測ポンプ電力、清掃、点検温度差、流量、需要の同時性、材質
ヒートポンプ利用本体、配管、電気、制御、計測電力、保守、予備熱源運転温度、季節別性能と実際の追加電力
既存熱源の更新熱源設備、配管、施工、試運転燃料・電力、定期保守供給能力、効率、停止時の代替手段

[OPSX2][OPSX3][L18][L29][L15]

WORKED EXAMPLE

計算例:排湯熱を給水の予熱へ回す場合

前提をそろえて考える例

  • 計算のための仮定。排湯100L/分、水と近似した密度1kg/L・比熱4.2kJ/kg℃、取り出す温度差10℃、一日8時間・年300日。必要な熱需要が同じ時間にあるとする。
  • 熱交換によって実際に利用できる熱を理論量の60%と仮定。置き換える既存熱源の費用は効率を含む供給熱1kWh当たり14円。追加電力は年2,000kWh・30円/kWh、追加保守は年12万円。
  • 導入費800万円、税・補助金・借入・更新費・休業損失は除く。温泉・排湯は給湯水と混合しない別系統。ヒートポンプを加える場合の追加電力は別に算定する。
  1. 理論上の熱出力=100×4.2×10÷60=70kW。年間理論熱量=70×8×300=168,000kWh。
  2. 利用熱量=168,000×60%=100,800kWh。置換する費用=100,800×14=1,411,200円。
  3. 追加電力60,000円と保守120,000円を引くと、年1,231,200円。単純回収年数=8,000,000÷1,231,200≒6.5年。

この仮定では年約123万円、単純計算で約6.5年となります。実際の設計は流量、温度、需要、汚れ、停止時間を実測して置き換え、設備の更新と資金繰りまで含めて判断します。[OPSX2][OPSX3][F8]

09 / HOW IT WORKS

地域と物件を知り、
非公開の対話へ。

実際の買主向けガイドから、検討を進める四つの画面を紹介します。

試験アカウントと説明用の架空データで操作して撮影したものです。施設名や詳しい資料は、必要な手続きと相手の承認のあとに共有されます。[T1]

ALLIANCE PARTNERS

次の宿づくりを、
一緒に支える企業の皆さまへ。

OTAの初期構築、PMS・電子キー、リノベーション、運営、資金計画。TSUNAGUでは、宿を承継・新規開業する方を支える企業・金融機関との連携を募集しています。

対応分野や地域を伺い、相互送客、実務事例の発信、導入支援など、双方の役割が明確なかたちからご相談します。

連携内容や費用、情報の扱いを相談のうえ、双方で合意して進めます。

YOUR NEXT STEP

現況と、残したい価値から。

気になる物件や改修の構想、現在の運営体制。分かる資料から条件を整理し、取得・再生・承継の進め方を考えます。

監修:堤 誠之(ジャパンリアルター株式会社 代表取締役)
実務の背景:堤 誠之・代表者紹介 / 代表者note ↗

QUESTIONS

具体的な計画に進む前に。

温泉が熱ければ排湯熱回収は採算に合いますか?

温度と同時に流量、時間、熱を使う側の需要、配管距離、追加電力を調べます。回収できる熱量と実際に減る燃料費を分け、保守や停止も含む計測から見積を作ります。[OPSX2][OPSX3]

貸切風呂に変えれば衛生管理は軽くなりますか?

利用人数や予約枠が変わっても、浴槽や配管、水質、換水、清掃等の管理を設計します。宿泊者専用か日帰りも扱うかで手続を整理し、施設の方式と地域条件に合う手順を保健所と決めます。[L18][L15][OPSX4]

温泉利用許可と旅館業の許可は同じですか?

温泉法の公共浴用・飲用の利用許可は別制度です。設備変更や営業主体の変更がある時は、それぞれの許可証と計画を示して確認します。神奈川県も一定の営業譲渡等で新規の温泉利用許可が必要と案内しています。[L29][L30][L25]

星のや軽井沢の68%を削減目標にできますか?

公表値は2017年時点の消費エネルギー自給率で、水力や排湯熱等を組み合わせた結果です。自館の電気代削減率へ移さず、対象設備と条件を特定した測定目標を立てます。[O27][OPSX3]

出典・確認範囲を見る

確認日:2026年10月28日。法令・通知・制度と、運営主体が公表した事例を分けて参照しています。自治体による取扱い、商品条件、公募期間は計画時点の公式案内で確認してください。

法規・許認可

  1. [L15] 厚生労働省|旅館業における衛生等管理要領の一部改正について

    2025年3月11日通知、同年4月1日適用。ICT本人確認、鍵・出入りの管理、相談応需、緊急対応。技術的助言と自治体条例を区別。

  2. [L18] 東京都島しょ保健所|公衆浴場

    2026年9月3日更新。サウナ・テントサウナを含む公衆浴場の営業許可、宿泊者のみの浴場等の取扱い、構造設備と他法令の事前相談。

  3. [L25] e-Gov|旅館業法

    第2条の営業区分・下宿営業、第3条の許可、第3条の2の事業譲渡承継。e-Gov法令APIで条文照合。

  4. [L29] e-Gov|温泉法

    第15条の公共浴用・飲用の利用許可、第16条の法人合併・分割、第17条の相続。旅館業の事業譲渡承認とは別。e-Gov法令APIで照合。

  5. [L30] 神奈川県|温泉関係の手続きについて(変更等の手続き)

    2026年6月19日更新。合併・分割によらない営業譲渡・施設売却等では温泉利用許可の地位承継対象にならず、新規許可が必要との案内。管轄を明記して参照。

金融・税務

  1. [F7] 日本政策金融公庫 創業計画書セルフチェック・資金計画

    見積の妥当性、開業後運転資金、借入依存の資金計画を点検する一次資料。例示比率を普遍要件としない。

  2. [F8] 金融庁 事業者と金融機関の信頼関係に基づく融資に関する検査・監督の考え方と進め方(2026年5月18日)

    事業実態・将来CF・継続対話、EBITDA/DSCR等の指標を案件に応じて選ぶ考え方。普遍的な融資承認閾値を示すものではない。

  3. [F9] 観光庁 宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドライン 第3章

    営業収益・費用の管理、償却前営業利益の算出、財務・事業管理。資料ごとの利益定義を揃える。

  4. [F39] 地域一体となった観光産業の効率化支援事業 公募要領・三次公募

    観光庁からリンクする事務局一次資料。2026年9月29日12時締切、事業後の報告と精算、交付決定前経費や用地取得等の除外、共同設備への補助と連携条件。

  5. [F40] 観光庁 地域における受入環境整備促進事業補助金交付要綱

    取得財産の管理と処分制限、事前承認と返還/納付が生じる場合。個別事業の適用条項・処分制限期間・承認要否を確認する基礎資料。

運営・DX・公表事例

  1. [O27] 星野リゾート 星のや軽井沢 SDGsアワード脱炭素部門賞受賞

    水力・温泉排湯熱・地中熱・ヒートポンプ等の組合せ。消費エネルギー自給率68%は2017年時点の値。温泉排熱だけによる電気代削減率ではない。

  2. [OPSX2] 環境省 温泉熱有効活用に関するガイドライン【改訂版】(令和7年3月)

    環境省の現行案内ページから改訂版PDFへ到達。温泉・排湯熱のポテンシャル、設備・配管・温度流量、導入条件と費用。PDFの抽出文字には文字化けがあるため、数値・細部は読み取り可能な別の公式手引きと測定を優先。

  3. [OPSX3] 環境省 温泉設備高効率化改修促進の手引き

    源泉・配湯所・利用施設の温度、量、圧力等の現状調査、既存図面、ロガーや日報、未計測時の実測による設備更新計画。公式PDF本文pp.7–9等を確認。

  4. [OPSX4] 厚生労働省 公衆浴場における衛生等管理要領の一部改正について(令和7年12月23日・令和8年4月1日適用)

    公衆浴場の衛生管理、給排水・水質・清掃・自主管理。宿泊者用浴場への適用は旅館業の管理要領と地域条例を併読し、温泉法の利用許可や省エネルギー効果と区別する。公式通知本文確認。

TSUNAGUの画面説明

  1. [T1] TSUNAGU|実際の進め方(買主)

    本番で公開されている操作説明・試験アカウントと説明用データの画面。2026年10月28日に取得。

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