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中古旅館・ホテルの減価償却と改修費|税務と現金収支を分ける

中古の宿を取得すると、建物代、土地代、設備、改修の支払が重なります。そのうち何を何年で費用にするかは、用途、構造、取得時期、工事の内容で変わります。短い償却年数だけを先に選ばず、価格の内訳と見積を整え、税務上の利益と実際に残る現金を分けて計画しましょう。

01

現況を測る

02

条件をそろえる

03

費用と運用を比べる

01 / PRACTICAL GUIDE

旅館の用途と構造に合う年数を調べる

国税庁の表では、木造の旅館・ホテル用は17年で、住宅用の22年とは異なります。金属造の旅館用は骨格材の肉厚によって29年、24年、17年に分かれ、軽量鉄骨という呼び名だけでは決まりません。

建物の図面や構造資料、実際の使い方を税理士へ示し、適用する区分を確認します。土地、建物本体、給排水や電気などの附属設備、家具備品も同じ年数へまとめず、取得した資産の内容を一覧にします。[F12][F42]

02 / PRACTICAL GUIDE

中古の簡便法は、改修条件も含めて判定する

中古資産の使用可能期間を見積もることが困難な場合には、簡便法で年数を求められることがあります。法定年数を全部経過した資産はその20%、一部経過なら残り年数に経過年数の20%を加えます。

ただし、供用のための資本的支出が中古資産の取得価額の50%を超える場合、単純な簡便法は使えません。取得価額と再取得価額の判定を分け、取得契約と改修見積がそろった段階で、使える方法を確認します。[F13][F14]

03 / PRACTICAL GUIDE

土地と建物の価格は、根拠を残して区分する

土地は減価償却の対象ではありません。一括の売買価格を土地と建物に分ける場合は、契約の記載と、時価、評価額、原価など合理的な根拠をそろえます。償却を増やす都合だけで建物割合を決めないことが大切です。

消費税上の区分の案内と、各資産の取得価額の判断も照合します。評価資料、見積、売主の内訳を税理士へ渡し、設備や備品を含む範囲まで確認します。取得後も説明できるよう、採用した方法と資料を保存します。[F17][F42][FINX2]

04 / PRACTICAL GUIDE

工事名より、修理や改良の実質を見る

通常の維持管理や原状回復と、価値を高める工事や使用可能期間を延ばす工事は、税務の扱いが変わります。用途変更の改装なども含め、修繕費という請求名だけで全額をその年の経費にできるとは限りません。

工事前後の写真、故障や劣化の記録、見積内訳、施工内容を残します。経理担当は請求書を受け取った時点で迷う項目を税理士へ渡し、修繕費、資本的支出、別の設備取得へ分けて台帳と支払記録へ反映します。[F15][F16][F43]

05 / PRACTICAL GUIDE

償却費と返済を、別の欄で計算する

減価償却は取得原価を期間に配分する費用で、計上した年に同じ額の入金が起きるものではありません。損益上の償却費と、建物代や改修代を支払った時点を分けると、税と資金繰りの関係を整理できます。

借入元金の返済も、償却費と同じ経費欄へ入れず、現金収支で差し引きます。税額を試算した後に、元金、設備更新、運転資金の増減を反映し、帳簿上の利益が少ない年にも、必要な現金を残せるかを見ます。[F42][FINX2][F8]

06 / PRACTICAL GUIDE

保有中から売却まで使う資料をそろえる

固定資産台帳、契約、工事、償却の記録は将来売るときにも必要です。個人の土地建物の譲渡所得では、建物の取得費は減価償却費相当額を差し引いて考えるため、保有中の税負担だけで効果を判断しません。

個人か法人か、営業か賃貸か、過年度の申告や繰越損失、居住者性によっても検討が変わります。所有者と営業主体、所得の種類、申告書と資産台帳をそろえ、取得時、保有中、売却時を税理士と続けて検討します。[FINX3][F18][F19][F13][F15]

COMPARE THE OPTIONS

選択肢を、同じ条件で比べる。

方式ごとの実務上の違い
項目税務で見る内容現金収支で見る時点主な確認資料
土地減価償却対象外取得代金と借入返済契約、評価、按分根拠
建物本体用途/構造と中古年数、償却方法取得時支出と保有中返済図面、構造、築年、台帳
建物附属設備・備品資産区分ごとの耐用年数購入、施工、更新の支払設備内訳、見積、納品資料
修繕維持管理/原状回復等の実質支出する年の資金需要前後写真、工事理由、請求書
資本的支出価値増加/使用可能期間延長等工事代の支払とその後の償却改良内容、資産別金額、供用日
元金返済償却費と別の資金移動償還表どおりの支払借入契約、返済予定表

[F12][F13][F15][F16][F17][F42][FINX2][F8]

WORKED EXAMPLE

償却費と、税・元金返済後の現金を分ける

前提をそろえて考える例

  • 前提を置いた計算例。中古簡便法の適用条件を満たす木造旅館で、建物取得価額3,000万円、耐用年数3年、定額法償却率0.334、通年供用とします。
  • 償却前の税務上の利益と、利息支払後・税/元金返済前の現金収支がともに1,800万円、元金返済600万円。ほかの償却・調整はなく、税額差を見るため税率を一律30%と置きます。
  1. 年間償却費は3,000×0.334=1,002万円。税務上の利益は1,800−1,002=798万円。
  2. この前提の税額は798×30%=239.4万円。償却を差し引く前の比較額540万円との差は、540−239.4=300.6万円です。
  3. 税と元金返済後の現金は1,800−239.4−600=960.6万円。ここで償却費1,002万円をもう一度現金から引きません。

償却費1,002万円、税務上の利益798万円、返済後現金960.6万円は別の数字です。購入代金は取得時に支出済みとしており、実際の税額は納税主体や控除等の条件で計算します。[F12][F13][F42][FINX2][FINX4][F8]

09 / HOW IT WORKS

地域と物件を知り、
非公開の対話へ。

実際の買主向けガイドから、検討を進める四つの画面を紹介します。

試験アカウントと説明用の架空データで操作して撮影したものです。施設名や詳しい資料は、必要な手続きと相手の承認のあとに共有されます。[T1]

ALLIANCE PARTNERS

次の宿づくりを、
一緒に支える企業の皆さまへ。

OTAの初期構築、PMS・電子キー、リノベーション、運営、資金計画。TSUNAGUでは、宿を承継・新規開業する方を支える企業・金融機関との連携を募集しています。

対応分野や地域を伺い、相互送客、実務事例の発信、導入支援など、双方の役割が明確なかたちからご相談します。

連携内容や費用、情報の扱いを相談のうえ、双方で合意して進めます。

YOUR NEXT STEP

現況と、残したい価値から。

気になる物件や改修の構想、現在の運営体制。分かる資料から条件を整理し、取得・再生・承継の進め方を考えます。

監修:堤 誠之(ジャパンリアルター株式会社 代表取締役)
実務の背景:堤 誠之・代表者紹介 / 代表者note ↗

QUESTIONS

具体的な計画に進む前に。

築22年の木造旅館なら4年償却ですか?

住宅用22年をそのまま使いません。木造旅館・ホテル用の法定年数は17年で、全部経過し簡便法を使える条件なら、17年×20%の端数を切り捨て3年という計算です。改修条件等を先に判定します。[F12][F13][F14]

取得後の工事が多くても、中古の年数を使えますか?

供用のための資本的支出が取得価額の50%を超える場合は、単純な簡便法が使えません。再取得価額との比較や別の算定も含め、資産ごとの価格と工事内容を税理士へ示して判断します。[F13][F14]

建物価格は売買契約で高く決めればよいですか?

契約の記載に加え、合理的な価格区分の根拠が必要です。時価や評価額、原価などの資料と実際の取得内容をそろえ、土地、建物、設備の区分を税務上説明できる形にします。[F17][F42]

海外在住なら、国内の宿の税務は同じですか?

所有と営業の主体、個人/法人、居住者性を分けます。非居住者等への売買代金や国内賃料には源泉徴収が関わる場合があり、宿泊営業の売上や最終税額と同じ扱いではありません。決済と申告の担当を先に整えます。[F18][F19]

出典・確認範囲を見る

確認日:2026年10月28日。法令・通知・制度と、運営主体が公表した事例を分けて参照しています。自治体による取扱い、商品条件、公募期間は計画時点の公式案内で確認してください。

金融・税務

  1. [F8] 金融庁 事業者と金融機関の信頼関係に基づく融資に関する検査・監督の考え方と進め方(2026年5月18日)

    事業実態・将来CF・継続対話、EBITDA/DSCR等の指標を案件に応じて選ぶ考え方。普遍的な融資承認閾値を示すものではない。

  2. [F12] 国税庁 令和7年分収支内訳書(一般用)の書き方・主な減価償却資産の耐用年数表(7頁)

    木造旅館17年・木骨モルタル旅館15年、金属造旅館は骨格材肉厚で29/24/17年。住宅用22年等と用途を区別。2025年10月1日法令等に基づく表を2026年10月28日に閲覧。

  3. [F13] 国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数

    法人税。使用可能期間の見積りと簡便法、全部経過20%、一部経過の式、端数切捨て・最短2年、供用前資本的支出50%超、供用年度での算定。令和8年4月1日現在法令等。

  4. [F14] 国税庁 No.5404 QA 取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合

    取得価額と再取得価額の50%を区別。単純な中古簡便法を使えない場合の取扱い。

  5. [F15] 国税庁 No.5402 修繕費とならないものの判定

    法人税。維持管理/原状回復と価値増加/使用可能期間延長を実質で判定。少額・周期・区分不明時の扱いには個別条件。

  6. [F16] 国税庁 No.2107 資本的支出を行った場合の減価償却

    所得税。資本的支出を原則同種・同耐用年数の新たな減価償却資産として扱うこと、通常維持修理との区別。

  7. [F17] 国税庁 No.6301 QA 建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金

    消費税の土地建物区分。時価比率、相続税/固定資産税評価額、原価等による合理的な区分。建物割合を節税目的だけで任意設定する根拠ではない。

  8. [F18] 国税庁 No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき

    非居住者/外国法人の売主に国内不動産の対価を国内払いする場合の原則10.21%源泉、居住用1億円以下等の例外。2026年の取扱い。

  9. [F19] 国税庁 No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合

    非居住者の国内源泉所得、納税管理人・確定申告、国内賃料原則20.42%源泉と例外。宿泊売上そのものへの一律税率ではない。

  10. [F42] 国税庁 令和7年分青色申告決算書(不動産所得用)の書き方・減価償却

    土地・土地上の権利は減価償却資産ではないこと。建物・設備等の取得価額と業務供用、事業/家事の区分。

  11. [F43] 国税庁 No.1379 修繕費とならないものの判定

    個人所得税。用途変更改装等の資本的支出、修繕費との実質判定、20万円未満/周期/区分不明60万円未満等の個別条件。

  12. [FINX2] 国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却

    取得価額×定額法償却率、業務使用月数による按分、未償却残高1円まで等。

  13. [FINX3] 国税庁 No.3252 取得費となるもの

    個人の譲渡所得。建物取得費から所有中の減価償却費相当額を控除すること。

  14. [FINX4] 国税庁 令和7年分・減価償却資産の償却率等表

    定額法の耐用年数3年に対応する償却率0.334等。

TSUNAGUの画面説明

  1. [T1] TSUNAGU|実際の進め方(買主)

    本番で公開されている操作説明・試験アカウントと説明用データの画面。2026年10月28日に取得。

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