TSUNAGUホテル・旅館の売買・M&Aプラットフォーム
新岩間温泉・山崎旅館の外観。2015年撮影
新岩間温泉・山崎旅館の外観。2015年撮影Photo: 藤谷良秀 / CC BY-SA 4.0

HERITAGE ONSEN 100 — 72

守るべき日本の歴史・財産
名湯・秘湯遺産 厳選100撰

石川県 / 霊峰・信仰・世界遺産と結びつく湯

白山一里野・岩間温泉。
白山の水と、湯を届ける仕事を見つめる

白山の山並みを仰ぐ一里野と、谷の奥で湯が湧く岩間。信仰、雪、引湯の仕事が結び付く山麓には、食と自然を楽しむ時間があります。現在の供給停止と通行止めを踏まえ、入浴できる場所を一律に想定せず、土地の記憶と、湯を次へ届けるための課題を訪ねます。[1][3]

歴史

白山信仰を背景に、岩間の源泉と山麓の一里野が引湯によって結ばれてきた。

価値

噴泉塔群という自然の文化財と、雪の高原、堅豆腐や山の食を受け継ぐ人々。

未来

現在の供給と道路の状態から始め、共同の設備と宿の仕事を段階的に整える。

HISTORY / VALUE / THE NEXT CHAPTER

残したい風景と、
湯のある暮らし。

白山一里野温泉周辺・冬のスキー場
白山一里野温泉周辺・冬のスキー場Photo: Saigawasakurabashi / CC BY-SA 3.0

一里野では、雪の斜面が緑の高原へ替わり、宿で食事を囲む時間にも山の暮らしが感じられます。岩間は、その奥にある谷と温泉の名です。離れた源泉から湯を引き、山麓の滞在を支えてきた関係が、この特集の中心になります。白山を拝む長い信仰の歴史と、スキー場や宿を整えた現代の歩みを分けて読むと、山の水を使う仕事の大きさが見えてきます。

2026年10月29日の確認では、岩間源泉から一里野への引湯管が寸断され、天領は休館、再開時期は未定と運営主体が案内しています。県の登山道情報でも、新岩間から岩間元湯へは崩落により通行できません。宿泊や食事まで地域全体が休止という意味ではなく、施設ごとの案内が必要です。湯の歴史を楽しみながら、いま訪ねられる場所で山麓を味わいます。[1][3]

※本ページは地域の温泉文化・歴史遺産の解説であり、掲載写真や施設が売却案件であることを示すものではありません。

TSUNAGU独自の編集企画「名湯・秘湯遺産100撰」の第72撰です。公的な認定や順位を表すものではありません。

02 / HISTORY & MEMORY

霊山の物語と、近代の山麓

白山を拝む信仰と、一里野の高原に宿や運動施設が整った歴史は、同じ始まりではありません。岩間の湯を届ける仕事が二つの場所を結んできました。古い計画書の姿と現在の供給状態を分け、山の資源を暮らしへつないできた過程として、この土地を読みます。[1][3][6]

白山比咩神社は、泰澄が717年に白山を開いたという物語を伝えています。水を生み出す山への信仰は、麓の暮らしを知る大きな背景です。ただし、その由緒を一里野の各宿の創業や、岩間源泉の発見年へ当てはめることはできません。山を仰ぐ気持ちと、個々の温泉が使われ始めた記録を分けることで、長い信仰と現代の滞在をどちらも丁寧に味わえます。

一里野では、河岸段丘の緩やかな地形を生かし、1976年にスキー場が開設されたことを保養温泉地計画が紹介しています。山奥の源泉がある場所と、人が泊まり活動する場所を、引湯によって結ぶ地域です。湯は宿の敷地のすぐ下から出るもの、という想像を離れると、斜面の設備や道、共同の管を維持する仕事も、山麓の歴史の一部に見えてきます。

2018年の保養温泉地計画は、岩間から新岩間・一里野へ供給する関係や自然環境の保全をまとめています。現在は引湯管の損傷により供給が止まっており、計画書の施設数や営業状態をそのまま現況にはできません。過去の姿を消す必要もありません。どの仕組みで人を迎え、それが何によって中断しているかを記録することが、次の継承を考える土台になります。[1][3][6]

  1. 717年(伝承)

    泰澄の白山開山

    白山比咩神社が伝える信仰の由緒。温泉施設の創業とは区別。[6]

  2. 1957年6月19日

    噴泉塔群の指定

    岩間の噴泉塔群が国の特別天然記念物となる。[4][5]

  3. 1976年

    一里野のスキー場開設

    山麓の地形を使ったレジャー拠点が整う。[3]

  4. 2018年8月

    保養温泉地計画

    源泉・配湯と地域の環境保全が計画書にまとめられる。[3]

  5. 2026年10月確認

    供給停止と通行止め

    天領の休館と復旧未定、元湯へ至る区間の通行不可を公式案内で確認。[1][2]

泰澄

白山

717年の白山開山を語る信仰上の人物。山への祈りと、麓で人を迎えてきた土地の背景を伝える。[6]

一里野の宿と共同設備の担い手

一里野

高原の食と滞在を支え、源泉供給の状態を利用者へ伝える。湯と建物、日々の受入れをつなぐ現場の人々。[1][8][10][11]

03 / THE WATER & ITS KEEPERS

湯が湧くことと、届くことの間

岩間の源泉と一里野の浴場は、引湯の設備によって結ばれてきました。源泉の特徴が残っていても、管が傷めば浴場へは届きません。現在の温泉供給停止を前提に、浴場ごとの営業と利用方法を読みます。湯の価値を、泉質だけでなく届ける仕組みから考えられる土地です。[1][2][3][4][5][9]

環境省の2018年の資料は、岩間の源泉をナトリウム塩化物泉とし、新岩間と一里野へ引く関係を示しています。これは当時の計画に記された情報で、2026年の全浴槽の利用状況を示すものではありません。湧出地、共同管、受け取る宿の浴場という段階に分けると、温泉のある土地で実際に入浴を提供するまでに、いくつもの管理が必要なことが分かります。

現在、SAM白山は岩間源泉から一里野まで湯が届かず、天領が休館していると案内しています。配管の復旧と営業再開は未定です。宿ごとに営業と浴場の使い方が異なります。現在の案内を通して、食と休憩を含めて選べる滞在を知れます。泊まる宿では、浴場の営業と使う水、加温等の方法を個別に確かめます。食や高原を楽しむ滞在と、天然温泉への期待を整理して選べます。

岩間の噴泉塔群は、温泉の成分が沈殿して形をつくる自然の遺産です。市は災害による大きな被害も伝えており、昔の写真の姿がいつも見られるわけではありません。さらに、新岩間から元湯へは現在通行できません。湯の成り立ちは文化財資料で学び、閉鎖区間へ向かう散策は組みません。源泉を守ることと、見に行くことを分ける視点が、この場所では大切です。[1][2][3][4][5][9]

泉質・源泉と、資料が示す範囲
対象泉質・湯の特徴温度pH分析日・資料の時点確認範囲
岩間源泉の2018年計画上の記載ナトリウム塩化物泉個別源泉の分析書で確認個別源泉の分析書で確認採用する分析書に記載歴史資料としての範囲。現在、一里野への供給は停止と公式案内。現在の分析・供給は別途確認。[1][3]
一里野の各宿の浴場施設ごとの利用案内で確認個別源泉の分析書で確認個別源泉の分析書で確認採用する分析書に記載宿泊・食事の営業と天然温泉の供給を別に確認。代替方法を地域一律としない。[1][9]

源泉の分析と、浴槽で使う湯を読み分ける。

分析書の源泉名・採水場所・年月日と、施設が掲示する加水・加温・循環・消毒の方法を合わせて確認します。地域に複数の源泉がある場合、ひとつの値をすべての湯宿や浴槽へ当てはめず、訪れる施設の最新の掲示を読んで入浴します。

白山国立公園・秋の山並み
白山国立公園・秋の山並みPhoto: Alexkom000 / CC BY 4.0

04 / ARCHITECTURE & TOWNSCAPE

高原の宿と、見えない共同設備

一里野の宿とスキー場、源泉を結ぶ管は、山で過ごす時間を支える別々の施設です。全てを古建築や文化財として扱わず、自然の文化財と建物の履歴を分けます。雪を受ける屋根、食事の場、共同設備の修繕を含めて、山麓の滞在を受け継ぐ視点を持ちます。[1][3][6][10]

白山国立公園・山を彩る紅葉
白山国立公園・山を彩る紅葉Photo: Alexkom000 / CC BY 4.0

一里野の斜面に広がる施設は、冬と緑の季節で使われ方が変わります。宿から外へ出る動線、道具をしまう場所、食事まで休む席を眺めると、山麓で泊まるための工夫が感じられます。ここでの建物紹介は、全施設に特定の文化財指定があるという意味ではありません。建設と増改築、雪への備え、現在の使い方を一棟ずつ調べることから、残す価値を探します。

白山比咩神社の山頂の奥宮は、神社の案内によると現在の社殿が1988年に建立されたものです。信仰が古いことと、現存する建物が同じ古さであることは別です。奥宮へ向かうのは山頂への登山です。麓の一里野では短い高原の散策を選び、それぞれの距離と装備に合う行程を組みます。建物は場所と役割を確かめ、信仰を支えて建て直されてきた時間として紹介します。

目に見えにくい引湯管は、浴場の内装と同じくらい滞在に関わります。損傷した区間、所有と管理の境目、道が使える季節を把握しなければ、修繕費も工期も組み立てられません。宿の再生では、館内の改修と地域の供給復旧を別の工程で整理します。客室が整っても天然温泉を提供できるとは限らないことを、実際の管の図と営業計画に落とし込む作業です。[1][3][6][10]

建物・街並み・湯の道具に残る価値
建物・場所年代・位置付け残したい特徴
一里野の宿泊施設群高原の観光を支える現代の宿山へ向かう拠点として、窓からの緑と雪、湯と休憩、日々の清掃と設備の手入れが滞在を支える。[8][10][11]
白山癒しの湯天領現在は休館中休館中の浴場は、源泉と共同管を介して山の湯が麓の利用へ届く仕組みを伝える。入浴の再開時期は未定。[1]
白山奥宮現社殿は1988年建立山頂で信仰を伝える社殿。訪問には白山へ登る行程と装備が必要で、麓の一里野の散策とは別の時間を取る。[6]

05 / STAY THROUGH THE SEASONS

山の食と、高原の季節を楽しむ

一里野には、雪の活動だけでなく、緑の季節の催しと山の食を楽しむ滞在があります。温泉の供給停止は案内に含め、食事や散策をそれぞれの営業条件で選びます。白山麓の堅豆腐や発酵の味を知ると、湯の復旧を待つ土地にも、いま続く人の営みが感じられます。[1][2][7][8][10][11]

緑の季節の一里野では、スキー場周辺を会場にした活動や灯りの催しが公式に案内されています。雪の下にあった斜面が別の表情を見せ、宿で過ごす夕方にも楽しみが生まれます。催しは年ごとに期間と内容が変わるため、訪ねる日の案内から選びます。源泉への立入りを目的にせず、公開された高原と、宿の食卓を組み合わせる旅が考えられます。

白山麓の食では、堅豆腐が暮らしと行事をつないできました。農林水産省は、同じ山麓でも白峰と桑島で製法が異なることを紹介しています。一里野の全ての宿が同じ豆腐を作るわけではなく、実際の産地と料理を聞いて味わいます。自家生産や発酵を取り入れる料理宿、ジビエを伝える宿もあり、店ごとの考え方を知ることが、山の旅の厚みになります。

冬は一里野の雪を目的に訪れる人がいる一方、岩間方面の道や山の施設は別の条件になります。温泉が通常どおり使える旅として予約を組み立てず、浴場の案内と食事、交通を合わせて考えます。乾燥する場所や休憩の席、温かい汁物があると、雪の日の滞在は穏やかです。景色を楽しむ客の時間と、それを支える除雪や調理の仕事を一緒に眺めたい季節です。[1][2][7][8][10][11]

春・夏

緑の高原と料理

公開された高原の活動と食を選び、元湯への通行止め区間へは向かわない。[2][8][10]

秋

山の味を囲む

宿ごとの料理から、豆腐、発酵、山の食材の背景を聞く。産地は実際の表示で確かめる。[7][8][11]

冬

雪を楽しむ拠点

スキー場と宿、浴場の営業を別々に読み、乾燥・食事・移動を整えた行程にする。[1][10]

A WALK BETWEEN BATHS

湯の前後に、もうひと歩き。

一里野の公開エリアで

  1. 高原の案内地点
  2. 開放される散策範囲
  3. 宿の食事処

催しや季節の公開状況に合わせて歩く。管理区域や滑走中の斜面への立入りとは分ける。[10]

白山信仰を知る別日の旅

  1. 白山比咩神社の里宮
  2. 境内の公開参道
  3. 周辺の休憩地点

鶴来側への移動を伴う別の行程。白山頂上や岩間源泉への徒歩案内に読み替えない。[6]

食を目的に宿で過ごす

  1. 予約した料理宿
  2. 宿が公開する庭や休憩空間
  3. 高原の案内地点

個別の営業と公開条件で選ぶ。現在通れない新岩間〜岩間元湯を含めない。[2][8][11]

TASTE OF THE REGION

白山麓の堅豆腐

白峰や桑島の製法の違いまで知ると、食感の背景が面白い。提供される品の産地を聞いて味わう。[7]

TASTE OF THE REGION

米・みそ・醤油の味

ろあんは自家生産や発酵を生かす料理を紹介する。地域全宿の共通献立ではなく、実在する料理宿の取組。[8]

TASTE OF THE REGION

山のジビエ料理

岩間山荘が紹介する山の食の一つ。肉の種類や提供は時期と献立により選び、狩猟体験を無条件に組まない。[11]

開花や展示、見学の予定に合わせて、散策先を組み合わせてみてください。共同浴場や山道などの利用案内は、訪問前に公式サイトでご確認いただけます。写真は、それぞれの撮影時点の記録です。

06 / PRESERVING THE HERITAGE

止まった供給から、引継ぎを考える

一里野と岩間の継承では、現在の供給停止と通行規制を出発点にします。建物の改修、共同管の復旧、温泉利用、営業の手続は別の工程です。自然の文化財と宿の建物を分け、誰がどこを守るかを資料と地図へ落とすことで、再開や更新の条件を具体的にできます。[1][2][3][4][6][8][10]

引湯の復旧が未定の段階では、天然温泉を前提とする営業開始日を先に決められません。破損区間と進入条件、工事の主体、費用分担を明確にし、自館で進められる修繕と分けます。保養計画の保全方針は参考になりますが、かつての供給を現在の事実にしないことが大切です。地域の共同設備と、一軒の宿の工事を一枚の工程表で見通します。

引継ぎの資料は、建物、営業、敷地、温泉、日々の管理に分けてそろえます。図面と現地が違う部分を先に洗い出し、所有者と管理者、工事を担う人を同じ表に置きます。保存の価値があることと、自由に改修できることは別の話です。残す部材と更新する設備を具体的に示せば、関係窓口との相談も、現場への引継ぎも進めやすくなります。[1][2][3][4][6][8][10]

01

白山を望む高原の景観

2018年計画の自然との調和を出発点に、現在の建物と看板、斜面とのつながりを記録する。[3][10]

  • 景観と施設の現況
  • 計画と区域の資料
  • 市と公園担当の協議
02

宿と自然の文化財を分ける

噴泉塔群は国特別天然記念物。宿の建物まで同じ指定とせず、個別の履歴と修繕の必要を調べる。[4][5]

  • 指定対象の位置
  • 建築・改修の図面
  • 雪・消防・避難の検討
03

公園と閉鎖区間

岩間の国立公園と一里野の県立自然公園を区別し、地番で区域と行為を照会する。元湯へは通行止めを優先。[2][3]

  • 地番と現行区域図
  • 崩落箇所と規制
  • 工事・保守の進入条件
04

引湯の復旧と権利

現在の供給停止を前提に、管と源泉の所有、復旧の主体、費用と利用条件を別に整理する。[1][3]

  • 源泉・供給契約
  • 破損区間と修繕主体
  • 分析書と再開前の確認
05

営業と温泉供給を別工程に

宿泊、食事、浴場の計画を分けて保健所等へ相談する。供給復旧を根拠なく開業日へ織り込まない。[1][8][9]

  • 営業許可と主体
  • 浴場の水と表示
  • 供給停止中の案内
06

山の管を守る体制

点検路と配管、貯湯槽、自館管の分担を図にする。災害後の判断と連絡先を担当者から受け取る。[1][2][3]

  • 点検と清掃の記録
  • 災害・積雪時の対応
  • 共同管と宿の境界

残す部分と、
直す仕事を同じ図面に。

文化財の指定・登録、景観や公園の区域、建物の適法性、営業・温泉の許可は、対象と手続が異なります。用途変更の200㎡という面積基準だけで工事全体の要否を判断せず、工事の種類、規模、既存建築の状態を整理し、建築士と所管窓口へ同じ計画を示して相談します。[NAT02][NAT03][NAT04]

07 / MORE VALUE, WITH MEMORY

山の味と、届く湯の未来を育てる

一里野の未来は、供給復旧だけに全てを預けず、現在も楽しめる食と高原の時間を丁寧に磨くことから考えられます。源泉や共同設備の復旧は別の工程で進め、情報を正確に伝えます。山の文化と働く人の手を残しながら、続けられる滞在を小さく試す提案です。[1][2][3][4][6][8][10]

料理宿の食卓や高原の活動は、温泉の供給と同じ速度で動くとは限りません。何をいま提供でき、何を待っているかを分かりやすく伝えることが、訪れる人との信頼になります。山麓の豆腐や発酵の味を知り、館内でゆっくり過ごす旅を整える案もあります。食と休息の仕事を磨きながら、湯が戻る時に必要な設備と人の準備を別に進めます。

再生は、客室の見た目を変えるだけで完了する仕事ではありません。小さな範囲で給湯、清掃、食事、案内の動きを試し、担当者が無理なく回せる形を探ります。以下の三案は、この土地の特徴から考えた計画の提案です。特定の宿の取引や実施済みの成果ではなく、地域の魅力を次の運営へ渡すための出発点として読んでください。[1][2][3][4][6][8][10]

MODEL 01

食と高原の滞在を磨く

天然温泉の供給状態を明示し、料理と公開された高原の時間を主役にする提案。営業と告知を一致させる。[1][8][10][11]

MODEL 02

引湯復旧と館内更新を分ける

共同設備の復旧計画と自館の改修を別の工程・資金表に置き、できる部分から進める案。[1][3]

MODEL 03

山の文化を学ぶ連泊

白山信仰と麓の食を別日の移動でつなぐ提案。閉鎖された源泉歩道を旅程に含めない。[2][6][7]

改修費と、続けるための資金。

供給が止まる地域では、自館の更新費と共同の引湯復旧費を分け、誰が実施し負担するかを先に整理します。宿泊と食事を続ける場合の収支と、天然温泉が再開する場合の収支は別の条件で試算します。復旧時期を根拠なく置かず、休止や追加点検のための資金を残します。

資金制度は、保存、設備、防災、運営など目的ごとに対象と手続を調べます。採択や融資を先に約束せず、所有者と実施者、工事の範囲、着工前の条件をそろえて相談します。更新費だけでなく、営業を休む間の費用と、開業後の点検・修繕に残す資金を合わせて考えます。[1][2][3][4][6][8][10]

設備資金・運転資金、事業の対象、組合等の条件により融資制度は異なります。実際の費用と営業計画をそろえ、融資・補助金の募集条件と支払時期を確かめて資金繰りを組み立てます。[NAT05][NAT06]

08 / MARKET & RELATED GUIDES

高原の季節と、供給状態を重ねる

石川県全体の観光の動きと、一里野の雪や高原の滞在は同じではありません。温泉供給の状態も予約の期待を左右します。宿泊、食事、浴場の利用を分け、季節と交通、復旧の工程を重ねます。将来の再開を売上の確約にせず、いま受け持てる営業から考えます。[1][2][3][4][6][8][10]

一里野の需要を見る時は、冬の雪、緑の季節の活動、食事を目的に泊まる旅を分けます。県全体の統計で各宿の稼働を説明せず、自館の予約理由や泊数、食事、キャンセルを記録します。温泉への期待が強い人へは供給の状態を先に伝えます。共同設備の復旧と、宿の販売・営業の条件が揃っているかを見ることが、無理のない計画に役立ちます。

事業の検討では、売る客室の数だけでなく、掃除や湯の管理、食事の準備に必要な時間を記録します。工事中に使えない場所と休止期間を先に置き、支出と入金の時期を並べます。温泉地としての評価や歴史は、個別施設の収益や資金調達を約束するものではありません。現場が受け持てる仕事の量から、季節ごとの営業計画を組み立てます。[1][2][3][4][6][8][10]

観光庁2025年1〜12月確定値/都道府県全域の値
対象延べ宿泊者数外国人延べ宿泊者数外国人構成比リゾートホテル客室稼働率
石川県全域9,516,310人泊2,142,820人泊22.5%17.1%

外国人構成比は外国人延べ宿泊者数÷全体から算出。いずれも都道府県全域の統計で、この温泉地単独の集計や個別施設の売上・稼働率を示すものではありません。[MK01]

石川県全域の、
月別の宿泊者数。

県全域の季節変動を、その宿の客層や営業日、月別の販売実績と重ねます。地域全体の動きと個別の宿の運営を行き来しながら、滞在と事業の計画を考えます。

石川県の宿泊市場特集へ →
石川県の月別数値を表で確認する
石川県全域/2025年月別延べ宿泊者数
月人泊
1月594,970人泊
2月607,670人泊
3月791,140人泊
4月802,540人泊
5月855,380人泊
6月660,750人泊
7月758,640人泊
8月961,380人泊
9月734,640人泊
10月928,970人泊
11月986,260人泊
12月833,980人泊

09 / QUESTIONS

土地の価値と、個別の条件を分ける

地域の由緒、建物の指定、源泉と配湯、営業の許可は、それぞれ対象が異なります。土地の魅力を知った後は、個別の敷地と施設の資料へ進みます。残したい風景や過ごし方と、現場で続ける仕事を一緒に整理すると、調査や相談で確かめたい点が具体的になります。[1][2][3][4][6][8][10]

一里野の温泉は現在通常どおり使えますか。

確認日現在、公式は引湯管寸断による供給停止と天領休館を案内しています。各宿の浴場方法は個別に読みます。[1][9]

岩間元湯や噴泉塔群へ歩けますか。

県は新岩間から岩間元湯まで崩落のため通行不可としています。歴史の紹介と現行の散策案内を分けます。[2]

一里野も白山国立公園ですか。

2018年計画は一里野を県立自然公園、岩間等を国立公園と区別しています。具体的な敷地は現行区域図で照会します。[3]

宿の承継で供給の権利も移りますか。

建物の取得だけで一律に判断できません。源泉・配管・供給契約の主体と条件、復旧費の分担を別に確認します。[1][3]

10 / PASS IT ON

いま訪ねられる山麓から始める

まず現在の浴場と道路の案内を読み、営業する宿の食事や公開された高原を楽しんでみてください。そこで残したい時間が見つかったら、源泉と共同管、建物、雪の管理、食の担い手を結びます。過去の姿と現在の条件を分けて記録することが、山の湯を次へ渡す一歩です。[1][2][3][4][6][8][10]

残したい建物、引き継ぎたい仕事、守りたい屋号。今ある価値と、次に必要な手入れを言葉にするところから、宿の承継は始まります。

OWNERS

歴史ある湯宿を、
非公開で次へつなぐ。

施設名を伏せた下書きから、現在の営業、建物、温泉の条件を整理できます。公開を始める前の段階からご相談ください。

NEXT KEEPERS

受け継ぎたい価値から、
取得の条件を考える。

地域、予算、運営する人、必要な改修。大切にしたい文化と、続けられる事業の条件を整理して、次の宿との出会いに備えます。

売却・承継の前に、無料の計算ツールで手取りや税の目安を確かめられます。非公開での売却・保全のご相談はエージェントに相談、ご自身での登録は物件を登録からどうぞ。

編集:ジャパンリアルター株式会社 / 堤 誠之プロフィール / TSUNAGUの想い / 代表者note ↗

出典・写真・編集について

本文・統計の出典

  1. [1] SAM白山|公式・天領休館案内

    引湯管寸断と温泉供給停止、天領の再開未定。

  2. [10] SAM白山|一里野の情報

    2026年のグリーンシーズンや灯りの催し。

  3. [11] 岩間山荘|公式

    一里野の所在地、ジビエと山の食を伝える宿。

  4. [2] 石川県|白山の施設・登山道の状況

    2026年10月23日現在の岩間道・噴泉塔歩道の通行止め。

  5. [3] 環境省|白山温泉郷国民保養温泉地計画書

    2018年当時の地区、引湯関係、自然公園と保全方針。

  6. [4] 白山市|岩間の噴泉塔群

    国特別天然記念物の指定と災害による被害。

  7. [5] 石川県|岩間の噴泉塔群

    1957年指定と石灰華による塔の成因。

  8. [6] 白山比咩神社|白山信仰と奥宮

    泰澄の開山伝承と1988年の現奥宮。

  9. [7] 農林水産省|堅豆腐

    白山麓の食と白峰・桑島での製法の違い。

  10. [8] 一里野高原ホテルろあん|料理

    地元の食と自家生産・発酵を取り入れる料理宿の紹介。

  11. [9] 一里野高原ホテルろあん|お風呂

    個別施設の浴場案内。地域全体の供給状態とは分ける。

  12. [MK01] 観光庁|宿泊旅行統計調査・2025年確定値

    都道府県全域の2025年年計・月別データです。各温泉地や個別宿の実績ではありません。

  13. [NAT02] 国土交通省|既存建築物の活用の促進

    既存建築物の現況調査、改修と活用のためのガイドライン・制度資料を掲載しています。

  14. [NAT03] e-Gov法令検索|文化財保護法

    文化財の指定・登録、保存、現状変更と所有者変更などに関する法律の本文です。

  15. [NAT04] 環境省|国立公園における届出・申請

    区域と行為に応じて必要となる自然公園法上の許可・届出を案内しています。

  16. [NAT05] 日本政策金融公庫|一般貸付(生活衛生貸付)

    生活衛生関係営業の設備資金等について、対象と条件を案内しています。

  17. [NAT06] 日本政策金融公庫|振興事業貸付

    認定振興計画を持つ組合の組合員を対象とする融資と必要な証明を案内しています。

確認日:2026年10月29日。伝承、史料、分析値、建築・保存の記録と、編集上の再生提案を分けて記述しています。

写真の撮影地・利用条件

写真は各配布元の利用条件に従って掲載しています。撮影時点の景観・設備であり、現在の営業状況や、紹介施設が売却対象であることを示すものではありません。

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