TSUNAGUホテル・旅館の売買・M&Aプラットフォーム
玉造温泉・玉湯川沿いの温泉街
玉造温泉・玉湯川沿いの温泉街Photo: 663highland / CC BY 2.5

HERITAGE ONSEN 100 — 04

守るべき日本の歴史・財産
名湯・秘湯遺産 厳選100撰

島根県 / 千年古湯・風土記と文人の湯

玉造温泉。
玉の手仕事と、川辺の湯を次の世代へ。

玉湯川に沿って歩くと、足湯、神話のオブジェ、玉作りの資料を伝える場所が現れます。玉造温泉は、風土記に記された湯の記憶と、石や土に向き合う手仕事を一緒に楽しめる町です。入浴の心地よさに加え、出土品と祈り、川辺の風景を守る営みから、その価値をたどります。[S1][S7]

歴史

出雲国風土記の湯の記述と、古代の玉作りの遺跡が重なる。

価値

川沿いの散策、勾玉や焼き物、参拝と入浴が一つの町に集まる。

未来

史跡と河川の範囲を読み、湯と歩行空間を手入れしながら使う。

HISTORY / VALUE / THE NEXT CHAPTER

残したい風景と、
湯のある暮らし。

玉造温泉ゆ〜ゆの建物
玉造温泉ゆ〜ゆの建物Photo: 663highland / CC BY 2.5

玉造温泉の中心を流れる玉湯川には、宿の前庭だけでは得られない時間があります。橋を渡り、川辺で足を休め、坂を上って玉作りの資料を眺めると、湯と工芸が近くにある町の形が見えてきます。勾玉の完成品だけでなく、途中の石や道具に目を向ければ、旅の土産が誰かの仕事から生まれることも、自然に感じられるはずです。

古い史料が湯をたたえる言葉と、現代の浴場で掲示される分析書は、異なる役割を持っています。神話は土地の物語として、出土品は作業の痕跡として、源泉の資料は湯を使う条件として読む。それぞれを大切にすることで、魅力を過度な効能の約束へ置き換えず、温泉街の風景と日々の運営を次の担い手へつなげます。[S1][S7]

※本ページは地域の温泉文化・歴史遺産の解説であり、掲載写真や施設が売却案件であることを示すものではありません。

TSUNAGU独自の編集企画「名湯・秘湯遺産100撰」の第4撰です。公的な認定や順位を表すものではありません。

02 / HISTORY & MEMORY

湯の記述と、石に残る仕事

玉造の歴史は、湯をたたえる風土記と、石を加工した遺跡の両方からたどれます。神話に登場する玉作りの神と、発掘された道具や未成品を分けて読むと、物語と手仕事がそれぞれ生きてきます。温泉街を歩く一日が、古代の出雲を知る入口になります。[S1][S7][S8][S9]

玉造の湯は、奈良時代の出雲国風土記に記された場所として紹介されています。湯に人が集まる様子や湯をたたえる言葉は、古い時代の評価を伝えます。その表現をそのまま現代の医療的な効果に置き換えるより、人がここで湯に親しみ、喜びを語った記録として味わうと、今の入浴と長い時間を穏やかにつなげられます。

出雲玉作跡は国の史跡で、周辺からは玉の未成品や砥石などが見つかっています。完成した勾玉には表れにくい工程を、途中の形と道具から想像できることが資料の魅力です。神社へ寄進された出土品と、発掘調査による資料には集められ方の違いもあります。物の来歴を知ることで、地域の人が守ってきた文化が身近になります。

近代以降の町の歩みは、旧玉湯町の年表にも残ります。史跡公園や資料館、日帰り温泉の施設を整えた時間は、古代の遺跡とは別の継承の歴史です。保存された物を見せる仕組み、普段の湯を旅人にも開く仕組みが加わり、温泉街の楽しみ方は広がってきました。現在の催しや店の仕事も、その長い歩みに続いています。[S1][S7][S8][S9]

  1. 奈良時代

    風土記に湯を記す

    出雲国風土記の記述が古湯の歴史を伝える。[S1]

  2. 1922年10月12日

    出雲玉作跡を史跡指定

    その後に範囲の変更や追加指定がある。[S7]

  3. 1974年10月

    出雲玉作史跡公園が開園

    保存された遺跡を公開する場が整う。[S9]

  4. 1977年3月

    出雲玉作資料館が完成

    旧町の年表が施設整備を記録する。[S9]

  5. 1996年7月

    日帰り温泉施設が完成

    旧町の年表は玉湯温泉ゆ〜ゆの完成を記す。[S9]

薮内佐斗司

温泉街各所の神話オブジェ

温泉街の神話オブジェを手がけた彫刻家。現代の作品が散歩の入口になる。[S2]

櫛明玉命

玉作湯神社

玉作りの祖神として玉作湯神社で祀られる神話・信仰上の存在。実在の職人の伝記とは分ける。[S1][S6]

03 / THE WATER & ITS KEEPERS

湯の心地よさを、源泉の資料とともに

玉造温泉の公式案内は、ナトリウム・カルシウムを含む硫酸塩・塩化物泉を紹介しています。なめらかな湯の印象を楽しみながら、数値や利用方法は入浴先の分析書と掲示で読みます。風土記の称賛と現代の泉質を混ぜず、浴槽まで届く湯の扱いを知ることが大切です。[S1][S3][L3]

湯を知る入口には、湯ざわりや入浴後の休憩という自分の感覚があります。公式サイトでは美肌の湯という土地の呼び名も使われていますが、誰にでも同じ変化が起こるという意味には受け取りません。浴場の成分表や利用状況の掲示を読み、身体の状態に合わせて時間を区切ることで、温泉を無理なく旅の中心へ置けます。

源泉の温度や成分、浴槽へ届くまでの加水、加温、循環などは、利用する設備によって確認する情報です。地域紹介に出る数値を一つだけ選び、全ての宿へ当てはめることはできません。宿の継承では源泉名と供給系統、浴槽を対応させ、分析書の採水場所と年月日も残します。味わいの言葉と設備の資料を並べると説明が具体的になります。

玉造温泉ゆ〜ゆは、旅の途中にも湯に親しめる日帰り施設として案内されています。宿の浴場と町の施設を選べることは、滞在に余白をつくります。利用条件や休止の情報は現行の案内から読み、足湯や川辺の散歩と組み合わせます。湯を送る人、清掃する人、案内する人の仕事が、その気軽な一歩を支えています。[S1][S3][L3]

泉質・源泉と、資料が示す範囲
対象泉質・湯の特徴温度pH分析日・資料の時点確認範囲
玉造温泉公式の地域紹介ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(弱アルカリ性)施設・源泉の分析書で確認分析書で確認施設掲示で確認地域の公式案内の泉質。源泉と浴槽を特定した数値表ではない。[S1]

源泉の分析と、浴槽で使う湯を読み分ける。

分析書の源泉名・採水場所・年月日と、施設が掲示する加水・加温・循環・消毒の方法を合わせて確認します。地域に複数の源泉がある場合、ひとつの値をすべての湯宿や浴槽へ当てはめず、訪れる施設の最新の掲示を読んで入浴します。

玉湯川の水辺と石の流れ
玉湯川の水辺と石の流れPhoto: 663highland / CC BY 2.5

04 / ARCHITECTURE & TOWNSCAPE

川、坂、資料館をつなぐ小さな構造

玉造の建築を見る時は、旅館の姿に加えて、玉湯川の橋、坂道、史跡を公開する施設へ目を向けたいところです。出土品の文化財指定は建物全体の指定とは異なります。残された資料と現代の公開空間を分けて読むと、町の手入れが文化を伝える器になっていると分かります。[S2][S7][S8]

玉造温泉・川を渡る橋
玉造温泉・川を渡る橋Photo: 663highland / CC BY 2.5

川沿いでは、宿の入口、橋、足を休める場所が近い距離で連なります。敷地の中だけで眺めを完結させず、向かい岸からの見え方や歩く人の視線を考えることで、建物と街路の関係が見えてきます。夜の照明も、明るさを増すだけではなく、客室、川面、歩道のそれぞれへ何を届けるかという設計として捉えられます。

出雲玉作史跡公園には、工房の位置を伝える展示や復元の空間があります。現地で見える構造を全て古代から残る建物と考えず、発掘された遺構と、それを理解するための復元や保存施設を読み分けます。資料館で工程を知ってから公園へ出ると、広場や斜面の見え方が変わり、保存のために設けられた空間にも意味を見いだせます。

温泉街から史跡公園へ向かうエッグベーカー坂には、焼き物のかけらが埋め込まれています。大きな記念建築ではなく、足元の小さな意匠が土地の工芸を伝える仕掛けです。宿を改める際も、新しい装飾を増やす前に、使われてきた器や石、入口の寸法を調べることができます。手に触れる部分から、町との連続性を育てられます。[S2][S7][S8]

建物・街並み・湯の道具に残る価値
建物・場所年代・位置付け残したい特徴
出雲玉作資料館1977年完成と旧町の年表が紹介玉作りの工程、出土品、工芸を伝える公開施設。出土品の指定と建物は区別する。[S2][S9]
出雲玉作史跡公園の公開施設1974年開園遺構、復元、保存施設を読み分けながら古代の仕事を知る。[S2][S7][S9]
玉造温泉ゆ〜ゆ1996年完成と旧町の年表が紹介日常と旅の入浴をつなぐ日帰り施設。現在の利用は公式案内による。[S3][S9]

05 / STAY THROUGH THE SEASONS

川辺の花、夜の灯り、湯への祈り

玉湯川沿いの桜、夏の夜の催し、秋の献湯の儀式は、同じ道に異なる表情をつくります。神話の像や焼き物の坂を短い散歩に組み込み、寒い時期は湯と喫茶の時間を長めに取る。行事の現行案内と天候に合わせれば、季節の賑わいと静けさの両方を楽しめます。[S4][S5][S6]

春は川沿いの桜が散歩の目的になります。橋の上から花と水面を眺め、足湯や茶屋で休めば、遠くまで移動しなくても一日の景色が変わります。開花や夜の催しの日程はその年の案内で選び、花が少ない日にも神話の像や資料館を楽しめる行程にします。目当てを一つに絞り過ぎないことが、小さな温泉街をゆっくり味わうコツです。

夏は夜店や芸能などの催しが、湯上がりの町へ出るきっかけになります。普段の街路で行われる行事には、準備や片付け、住民の通行を支える仕事もあります。宿からの案内では会場までの道と戻り方を一緒に伝え、初めて来た人が迷わず歩けるようにします。静かに過ごしたい時間と賑わいを選べることも、滞在の魅力です。

秋の玉作湯神社の祭事では、湯の恵みへの感謝が表されます。湯を商品として見るだけでは気付かない、地域の暮らしと祈りの関係に触れられます。冬は入浴の前後にそばや甘味、地酒の店を候補にし、冷たい風の中を短く歩く計画が似合います。催しの開催や飲食店の利用は現行案内に合わせ、無理のない順路で巡ります。[S4][S5][S6]

春

桜と橋を渡る散歩

玉湯川沿いの花を眺め、足湯や茶屋へ。開花と催しは当年の案内に合わせる。[S5]

夏

湯上がりの夜を町で過ごす

夜店や芸能の催しを候補に、帰路まで短くつなぐ。[S5]

秋・冬

献湯の祈りと、温かい食卓

神社の祭事、そばや甘味、入浴を組み合わせ、寒さに応じて散歩を区切る。[S4][S5][S6]

玉造温泉の川辺で過ごす人々
玉造温泉の川辺で過ごす人々Photo: 663highland / CC BY 2.5

A WALK BETWEEN BATHS

湯の前後に、もうひと歩き。

玉作りの工程をたどる

  1. エッグベーカー坂
  2. 出雲玉作史跡公園
  3. 出雲玉作資料館

足元の焼き物から遺跡と資料へ。復元と実際の遺構を読み分ける。[S2]

川と神話の短い散歩

  1. 玉湯川沿いの公開歩道
  2. 神話オブジェ
  3. 川辺の足湯

橋を渡り、像が表す物語を探す。水位が高い日は岸の公開通路を選ぶ。[S2][S6]

湯と祈りの道

  1. 玉作湯神社
  2. 清巌寺
  3. おすそわけ茶屋

参拝の作法と施設の案内に合わせ、途中で茶を飲む余白を残す。[S2][S6]

TASTE OF THE REGION

出雲そば

温泉街にも手打ちそばの店がある。湯と散歩の間に、そばの香りと店の献立を楽しむ。[S4]

TASTE OF THE REGION

抹茶と和菓子

おすそわけ茶屋などで、歩いたあとに茶の時間を取る。店ごとの甘味も散歩の目的になる。[S2][S4]

TASTE OF THE REGION

島根の地酒

李白、月山、天隠などを案内する酒の店がある。造り手や器の話を聞き、入浴の前後の飲酒には時間を置く。[S4]

開花や展示、見学の予定に合わせて、散策先を組み合わせてみてください。共同浴場や山道などの利用案内は、訪問前に公式サイトでご確認いただけます。写真は、それぞれの撮影時点の記録です。

06 / PRESERVING THE HERITAGE

史跡の境界と、川辺の暮らしを読む

玉造の継承では、史跡や出土品を守る仕事と、温泉街を日々使う仕事が近くで重なります。国の指定が何を対象とするかを確かめ、敷地の図面、建物の履歴、源泉の資料をそろえます。川沿いの安全と町の歩きやすさまで含め、関係する窓口と計画を組み立てます。[S2][S6][S7][L1][L2][L3]

史跡が近いから全ての改修ができないとも、指定建物でなければ自由とも決められません。所在地と工事の内容を図面で示し、文化財、建築、河川など関係する相談先を整理します。出土品、地下の遺構、建物、景観は守る対象が異なります。何を残し、どこを更新するかの判断には、対象を細かく分けた記録が役立ちます。

川辺の宿では、入口や設備室への出入りと、避難する道を現地でたどります。足湯や散策の案内も含め、水位や天候で使える場所が変わることを運営へ反映します。湯の利用権、供給契約、営業許可は建物の資料と別にまとめ、誰の名義でどこまで使えるかを明らかにします。現場を知る人の手順を引き継ぐことも、保存の一部です。[S2][S6][S7][L1][L2][L3]

01

文化と景観を残す

神話の像や川沿いの眺めを、宿の外構や照明と一緒に見ます。史跡、出土品、建物の指定は対象を分け、文化財課へ地番と工事範囲を示して相談します。[S2][S7][S8]

  • 指定名称と範囲の資料
  • 対岸からの外観写真
  • 文化財担当との計画相談
02

建物の履歴と安全を調べる

川沿いの湿気、浴場の換気、増築の継ぎ目を建築士と調べます。古い図面だけで現況を判断せず、確認・検査の書類と修繕記録を重ね、既存不適格等の適用関係を工事内容に応じて整理します。[L1]

  • 現況と増改築の図面
  • 浴場・木部の傷み
  • 建築士と確認手続の相談
03

敷地と土地利用を確かめる

史跡の指定範囲や埋蔵文化財の扱い、川との境界を対象地ごとに確認します。公園として歩ける場所と宿の敷地を一つにせず、掘削や外構の計画を市へ示して必要な手続きを整理します。[S7][S9][L1]

  • 地番・境界・接道
  • 史跡等の区域図
  • 河川・文化財窓口への照会
04

温泉を使う権利を整える

源泉名、浴槽、利用許可、配湯の契約を一組にします。温泉街の一般的な泉質説明で代用せず、対象宿へ届く湯の系統と、名義変更や休止時の条件を供給者・保健所へ確かめます。[S1][L3]

  • 源泉別の分析書
  • 利用許可と契約
  • 供給範囲・承継条件
05

営業の承継を日程へつなぐ

旅館業の譲渡や改修を計画する段階で、保健所に事業の範囲を示します。事前承認等と温泉利用の手続は別に並べ、厨房や客室の変更も含めて営業開始までの工程をつくります。[L2][L3]

  • 営業資料と現況平面図
  • 譲渡方法の整理
  • 保健所との事前協議
06

湯守の仕事を引き継ぐ

配湯、清掃、足湯や散歩の案内は、日々の担当者が知る情報です。湯温や設備点検に加え、川の状態で案内を変える時の連絡も記録し、初めて担当する人が判断できる手順にします。[S3][S6][L3]

  • 湯温と点検の記録
  • 清掃・交換の工程
  • 水位・天候時の案内

残す部分と、
直す仕事を同じ図面に。

文化財の指定・登録、景観や公園の区域、建物の適法性、営業・温泉の許可は、対象と手続が異なります。用途変更の200㎡という面積基準だけで工事全体の要否を判断せず、工事の種類、規模、既存建築の状態を整理し、建築士と所管窓口へ同じ計画を示して相談します。[NAT02][NAT03][NAT04]

07 / MORE VALUE, WITH MEMORY

工芸の工程を、宿で過ごす時間へ

玉造での再生は、神話を語るだけでなく、石を磨き、土を焼き、湯を整える工程に触れる滞在から考えられます。資料館と店、川辺と宿を小さく結び、入浴以外にも腰を落ち着ける理由をつくる。担い手の仕事を尊重した連携が、町の文化を使い続ける力になります。[S2][S3][S4][L1]

宿に置く器や土産を選ぶ時、土地の作り手や資料館の情報とつなぐことができます。完成品を飾るだけではなく、原料や道具、使い方を短く伝えれば、翌日の散歩への関心が育ちます。見学や体験は実施者の受け入れ条件と合わせ、いつでも訪問できる前提にはしません。人数と時間を小さく整え、仕事のリズムを尊重することから始めます。

建物は川への眺めを残しながら、配湯、換気、清掃動線を先に整える方法が考えられます。夜の散歩へ送り出す案内や、戻って休める空間のように、大きな増築を伴わない改善もあります。以下は現場の調査後に検討する提案です。紹介した施設の事業計画や売却情報ではなく、文化と維持管理を両立するための考え方を示します。[S2][S3][S4][L1]

MODEL 01

玉作りを知る小さな宿の滞在

提案として、資料館で工程を知り、店で器や勾玉を選ぶ散歩を案内します。見学と体験の実施条件をそろえ、宿には土地の材料や道具を知る短い読み物を置きます。[S2][S8]

MODEL 02

川辺へ出やすい入口

提案として、外出の支度、雨具、休憩、帰館後の動線を小さく整えます。川を眺める共有空間と案内をつくり、外の店や日帰り湯も選べる滞在を考えます。[S3][S4][S5]

MODEL 03

器と設備の段階更新

提案として、配湯と換気を先に点検し、残す内装と更新する裏方設備を分けます。土地の工芸を使う部分は、補修や追加調達の相談も含めて選びます。[S2][L1][L3]

改修費と、続けるための資金。

玉造の宿では、浴場や客室の改装費だけでなく、配湯、換気、川沿いの外構、資料の保存や表示に要する費用も資金表へ入れます。工芸を取り入れる場合は取得費と補修・交換の費用を分け、作り手への注文時期も工程に並べます。文化を残す部分と日々の性能を整える部分が見えると、見積りの優先順位を説明しやすくなります。

桜や催しの時期に限らず、通常の平日の営業人数、食事提供、休館日の固定費を計算し、運転資金を確保します。融資や支援制度は申請者と対象経費、着手時期を個別に確認し、採択を前提に工事を約束しません。売買、改修、温泉と営業の承継を一つの工程に重ね、支払が先行する期間を具体的に見込みます。[F1][L1][L2][L3]

設備資金・運転資金、事業の対象、組合等の条件により融資制度は異なります。実際の費用と営業計画をそろえ、融資・補助金の募集条件と支払時期を確かめて資金繰りを組み立てます。[NAT05][NAT06]

08 / MARKET & RELATED GUIDES

島根の周遊と、玉造の滞在を見分ける

島根県の観光には、出雲、松江、石見など性格の異なる目的地が含まれます。玉造では入浴と宿泊、参拝、工芸の見学を分け、県全体の数字を宿の需要と同じに扱わないことが大切です。花の季節や催しの夜と普段の平日を比べ、町で過ごす時間の長さを読み取ります。[S3][S4][S5]

出雲や松江を訪れる旅の途中で玉造に泊まる人と、湯や記念日を目的に連泊する人では、到着時刻や食事への希望が異なります。県の統計は旅の背景を知る資料として使い、個別宿では実際の予約経路、泊数、同行者、移動手段を記録します。夕食前に町へ出られるか、翌朝に資料館へ立ち寄れるかという時間の設計も見直せます。

桜や夏の行事がある日だけを基準に客室や人員を増やすと、静かな時期の維持費が重くなります。普段の日に食事と入浴をどの人数で提供できるかを整理し、町の飲食店や日帰り湯との役割も考えます。周遊の入口としての便利さと、川辺に留まる価値を別々に言葉にすると、過度に広い客層を想定せずに運営の条件を絞れます。[S3][S4][S5]

観光庁2025年1〜12月確定値/都道府県全域の値
対象延べ宿泊者数外国人延べ宿泊者数外国人構成比リゾートホテル客室稼働率
島根県全域3,428,130人泊114,300人泊3.3%48.1%

外国人構成比は外国人延べ宿泊者数÷全体から算出。いずれも都道府県全域の統計で、この温泉地単独の集計や個別施設の売上・稼働率を示すものではありません。[MK01]

島根県全域の、
月別の宿泊者数。

県全域の季節変動を、その宿の客層や営業日、月別の販売実績と重ねます。地域全体の動きと個別の宿の運営を行き来しながら、滞在と事業の計画を考えます。

島根県の宿泊市場特集へ →
島根県の月別数値を表で確認する
島根県全域/2025年月別延べ宿泊者数
月人泊
1月189,790人泊
2月180,600人泊
3月273,100人泊
4月247,110人泊
5月289,630人泊
6月240,570人泊
7月305,110人泊
8月386,320人泊
9月300,500人泊
10月369,810人泊
11月334,320人泊
12月311,270人泊

09 / QUESTIONS

引き継ぐ前の疑問を、資料からほどく

玉作りの遺跡、神社の由緒、湯の分析書は、それぞれ異なる問いに答える資料です。文化財の名称から建物全体の制限を想像せず、対象と場所を確かめます。宿の継承でも温泉と営業、建物の条件を分けてそろえると、相談する相手と必要な段取りが見えます。[S1][L1][L2][L3]

風土記にある効能の言葉は、そのまま現在も保証されますか。

古い史料の表現は、その時代の湯への評価を伝えるものです。現代の治療や美容の結果を約束する説明にはせず、泉質と利用方法は対象浴場の分析書や掲示から読みます。[S1]

玉作りの重要文化財は資料館の建物全体ですか。

市は玉作りの出土品を重要文化財として案内しています。遺跡の史跡指定、考古資料、保存公開の建物は対象が異なるため、それぞれの名称と範囲を確認します。[S7][S8]

川の中の名所へいつでも渡れますか。

川の水位や天候で状態が変わります。現地の案内に従い、安全に歩ける公開区域から楽しみます。川へ降りることを前提にせず、橋や岸辺の散策と足湯を組み合わせられます。[S6]

宿の承継では何から資料を集めますか。

建物と敷地の図面・履歴、旅館業の資料、源泉別の分析書、温泉利用許可、供給契約を分けてそろえます。保健所、建築、文化財等の担当へ計画を示し、必要な条件を契約と日程へ反映します。[S7][L1][L2][L3]

10 / PASS IT ON

この土地の湯を、次の担い手へ

玉湯川の橋を渡り、途中の石や焼き物に足を止め、湯上がりに茶を飲む。その時間を支えるのは、湯と道、資料と店を守る日々の仕事です。次の担い手へ渡す時は、華やかな物語とともに図面、契約、修繕の記録をそろえ、町へ開く宿の姿を具体的に考えます。[S1][L1][L2][L3]

残したい建物、引き継ぎたい仕事、守りたい屋号。今ある価値と、次に必要な手入れを言葉にするところから、宿の承継は始まります。

OWNERS

歴史ある湯宿を、
非公開で次へつなぐ。

施設名を伏せた下書きから、現在の営業、建物、温泉の条件を整理できます。公開を始める前の段階からご相談ください。

NEXT KEEPERS

受け継ぎたい価値から、
取得の条件を考える。

地域、予算、運営する人、必要な改修。大切にしたい文化と、続けられる事業の条件を整理して、次の宿との出会いに備えます。

売却・承継の前に、無料の計算ツールで手取りや税の目安を確かめられます。非公開での売却・保全のご相談はエージェントに相談、ご自身での登録は物件を登録からどうぞ。

編集:ジャパンリアルター株式会社 / 堤 誠之プロフィール / TSUNAGUの想い / 代表者note ↗

出典・写真・編集について

本文・統計の出典

  1. [F1] 日本政策金融公庫|創業計画書セルフチェック・資金計画

    設備資金と運転資金、見積りと調達方法の点検。

  2. [L1] e-Gov|建築基準法

    建物の用途、確認手続、大規模修繕、既存建築物の適用関係。

  3. [L2] e-Gov|旅館業法

    営業許可と事業譲渡の事前承認。

  4. [L3] e-Gov|温泉法

    温泉の掘削・採取・利用と地位承継に関する制度。

  5. [MK01] 観光庁|宿泊旅行統計調査・2025年確定値

    都道府県全域の2025年年計・月別データです。各温泉地や個別宿の実績ではありません。

  6. [NAT02] 国土交通省|既存建築物の活用の促進

    既存建築物の現況調査、改修と活用のためのガイドライン・制度資料を掲載しています。

  7. [NAT03] e-Gov法令検索|文化財保護法

    文化財の指定・登録、保存、現状変更と所有者変更などに関する法律の本文です。

  8. [NAT04] 環境省|国立公園における届出・申請

    区域と行為に応じて必要となる自然公園法上の許可・届出を案内しています。

  9. [NAT05] 日本政策金融公庫|一般貸付(生活衛生貸付)

    生活衛生関係営業の設備資金等について、対象と条件を案内しています。

  10. [NAT06] 日本政策金融公庫|振興事業貸付

    認定振興計画を持つ組合の組合員を対象とする融資と必要な証明を案内しています。

  11. [S1] 玉造温泉公式|玉造温泉

    風土記、湯の歴史、泉質と玉作りの紹介。

  12. [S2] 玉造温泉公式|学び・スポット

    資料館、史跡公園、神話オブジェ、エッグベーカー坂。

  13. [S3] 玉造温泉公式|日帰り温泉

    玉造温泉ゆ〜ゆと日帰り利用の現行案内。

  14. [S4] 玉造温泉公式|グルメ

    出雲そば、地産地消の食堂、甘味、地酒の店。

  15. [S5] 玉造温泉公式|玉造温泉の四季

    桜、夏の催し、神社の祭事、冬の楽しみ。

  16. [S6] 玉造温泉公式|開運・縁結びスポット

    玉作湯神社、清巌寺、井戸と信仰の由緒。

  17. [S7] 松江市|国指定文化財

    出雲玉作跡と玉作り出土品の指定対象。

  18. [S8] 松江市|出雲国玉作跡出土品

    神社所有の考古資料と採集・寄進の経緯。

  19. [S9] 松江市|旧玉湯町

    史跡公園、資料館、日帰り温泉施設などの年表。

確認日:2026年10月29日。伝承、史料、分析値、建築・保存の記録と、編集上の再生提案を分けて記述しています。

写真の撮影地・利用条件

写真は各配布元の利用条件に従って掲載しています。撮影時点の景観・設備であり、現在の営業状況や、紹介施設が売却対象であることを示すものではありません。

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