TSUNAGUホテル・旅館の売買・M&Aプラットフォーム
南紀白浜・白良浜の白砂と青い海
南紀白浜・白良浜の白砂と青い海Photo: Suicasmo / CC BY-SA 4.0

HERITAGE ONSEN 100 — 03

守るべき日本の歴史・財産
名湯・秘湯遺産 厳選100撰

和歌山県 / 千年古湯・風土記と文人の湯

白浜温泉。
波音を聞く湯壺から、博物学の森へ。

白浜温泉の魅力は、海水浴の季節だけに収まりません。崎の湯の波音、円月島の夕景、熊楠の資料を伝える記念館が、湯上がりの時間を豊かにします。古代の行幸の記録を入り口に、源泉を送り続ける仕事と海辺の建物を守る工夫をたどり、白浜らしい滞在の未来を考えます。[S1][S2]

歴史

日本書紀に記された有間皇子や天皇の来訪が、古湯の時間を伝える。

価値

海に開く湯壺と夕景、番所山の自然と熊楠の資料が滞在を広げる。

未来

配湯の継続、海辺の維持管理、避難と散策を一緒に整える。

HISTORY / VALUE / THE NEXT CHAPTER

残したい風景と、
湯のある暮らし。

南紀白浜・共同浴場「白良湯」
南紀白浜・共同浴場「白良湯」Photo: 663highland / CC BY 2.5

白い浜と大きな空を眺めたあと、湯崎へ回ると、岩と海に向き合う崎の湯があります。湯の近くまで届く潮の香りは、白浜が海辺の生活と結び付く温泉地であることを教えます。夕暮れには円月島や千畳敷、雨の日には記念館へ。天候と体調に合わせて行き先を組み合わせると、浜辺の休暇に歴史や学びの時間が加わります。

白浜には複数の源泉があり、湯を浴場へ届ける仕組みも一様ではありません。海に面する建物では眺望だけでなく、風や塩、設備の腐食への手当ても日々の仕事です。湯壺の記憶、標本や文献、浜の景観を別々に扱わず、宿と町の関係として読み解くことが、使い続けながら価値を残すための第一歩になります。[S1][S2]

※本ページは地域の温泉文化・歴史遺産の解説であり、掲載写真や施設が売却案件であることを示すものではありません。

TSUNAGU独自の編集企画「名湯・秘湯遺産100撰」の第3撰です。公的な認定や順位を表すものではありません。

02 / HISTORY & MEMORY

牟婁の湯へ向かった人々

白浜の古い呼び名には、牟婁の湯、湯崎の湯があります。日本書紀に伝わる行幸と、海辺の湯壺に重なる土地の記憶をたどると、南紀の海が人を迎えてきた姿が見えます。現在の浴場の建物や設備の年代は、古代の来訪の記録と分けて味わいます。[S1][S2][S5]

観光協会は、日本書紀に六五七年の有間皇子の訪問、翌年の斉明天皇の行幸などが記されると紹介しています。史料に現れる湯の名を知ってから湯崎を歩けば、海を望む小さな入浴の場所が、遠くから人を迎える土地として読み直せます。古代の政治や旅の事情と、今日の気軽な休暇との距離も、白浜の歴史の面白さです。

崎の湯は、古い湯壺の記憶を伝える場所として町が案内する露天風呂です。海の見え方や波音は訪れるたびに違い、湯と自然が近いという経験を今に伝えています。一方、現在使う供給管や脱衣設備は運営を支える現代の仕組みです。古代から同じ設備が動き続けてきたと考えるより、手を入れながら使ってきた時間に価値を見いだせます。

番所山の南方熊楠記念館では、温泉の歴史から視野を紀南の自然と学問へ広げられます。文献や標本、遺品が資料として保存され、研究の歩みを知る入口になっています。海で過ごす一日と展示を見る一日をつなぐことで、晴天の景色だけでは見えない白浜が現れます。展示内容は公式案内を読み、企画ごとの出会いを楽しみたいところです。[S1][S2][S5]

  1. 657年

    有間皇子の訪問

    観光協会が日本書紀の記述として紹介する。[S2]

  2. 658年

    斉明天皇の行幸

    古代の来訪が温泉史に位置付けられる。[S2]

  3. 1965年4月

    南方熊楠記念館が開館

    資料の寄贈を受け、保存と公開の場が生まれる。[S5]

  4. 2017年3月19日

    記念館新館が開館

    新しい展示・保存の空間へ活動が続く。[S5]

有間皇子

牟婁の湯の歴史

657年の訪問が日本書紀に記されると観光協会が紹介する。[S2]

斉明天皇

白浜・湯崎の歴史

古代の行幸が白浜の古湯の記憶として伝えられる。[S2]

南方熊楠

南方熊楠記念館

文献や標本、遺品が記念館に保存され、紀南の自然と研究の歩みを学べる。[S5]

03 / THE WATER & ITS KEEPERS

源泉と海のあいだにある仕事

白浜には一つの分析表で表せない湯の違いがあります。崎の湯では行幸源泉から供給されるナトリウム塩化物泉を利用し、浴槽の湯は海へ流れます。源泉名と浴場ごとの使い方を知ると、波音のそばの入浴が、配湯と環境への配慮に支えられていると分かります。[S1][S2]

源泉やぐらを見つけると、海の町の地下にも温泉の設備が広がっていることに気付きます。観光協会は源泉やぐらと利用施設を紹介し、複数の泉質があることを伝えています。湯の色や香りの印象を楽しみながら、入浴先では源泉名、分析年月日、加水や加温などの掲示にも目を向けると、それぞれの湯の個性が具体的になります。

町の崎の湯案内は、行幸源泉の供給者と泉質を明記しています。この情報は当該浴場のものとして読み、白良浜周辺や別の宿の浴槽へ広げません。源泉温度と入浴する場所の温度も役割が異なります。湯を適温に整え、配管を点検し、清掃する工程があるからこそ、旅人は海の景色を眺める時間に身を任せられます。

崎の湯では海への排湯のため石鹸などを使えないと案内されています。この土地ならではの仕組みを先に知れば、入浴の支度も自然に整います。海況や設備の状態による利用変更は現行案内で確かめ、無理のない日に訪れます。身体への効き方を約束する言葉より、湯上がりに水分を取り、休む時間まで含めた滞在を大切にしたいものです。[S1][S2]

泉質・源泉と、資料が示す範囲
対象泉質・湯の特徴温度pH分析日・資料の時点確認範囲
崎の湯・行幸源泉ナトリウム塩化物泉分析書で確認分析書で確認浴場掲示で確認町が案内する崎の湯の供給源。供給元は湯崎温泉観光株式会社。全域の代表値ではない。[S1]

源泉の分析と、浴槽で使う湯を読み分ける。

分析書の源泉名・採水場所・年月日と、施設が掲示する加水・加温・循環・消毒の方法を合わせて確認します。地域に複数の源泉がある場合、ひとつの値をすべての湯宿や浴槽へ当てはめず、訪れる施設の最新の掲示を読んで入浴します。

南紀白浜・千畳敷の岩礁
南紀白浜・千畳敷の岩礁Photo: Antilovsky / CC BY-SA 4.0

04 / ARCHITECTURE & TOWNSCAPE

湯壺と記念館、海に向き合う器

白浜の建築を読む手掛かりは、古さだけではありません。海へ開く崎の湯、浜辺の宿、番所山で資料を守る記念館には、それぞれ異なる役割があります。潮風にさらされる場所で、人を迎える空間と資料や設備を守る空間をどう両立するかが、継承の中心になります。[S1][S4][S5]

南紀白浜・白浜湾沿いの町並み
南紀白浜・白浜湾沿いの町並みPhoto: Zairon / CC BY 4.0

崎の湯では、岩と湯面、海の水平線が一続きの眺めになります。屋内で完結する浴場とは違い、入浴者を天候から守りながら自然との近さを残す工夫が必要です。手すりや足元、脱衣から浴槽までの動線も景観の一部です。見た目だけを復元するのではなく、清掃や安全な出入りを続けられる形として、湯壺の価値を捉えられます。

南方熊楠記念館は一九六五年に開館し、二〇一七年に新館が開いています。開館の年月と資料に刻まれた時代を分けると、文化を伝える建築が現代にも育っていることが分かります。展示室では標本や文献の保存環境、外では海と森の眺めという別の条件が重なります。地域の歴史を伝える施設の運営を考えるうえでも参考になる場所です。

浜辺の宿を受け継ぐなら、客室からの眺望と同じ丁寧さで、屋上、窓回り、給湯機器、金属部の傷みを見ます。潮の当たり方は方角や距離によって変わり、全棟同じ交換周期にはできません。古い写真で外観の変化を追い、現況図面と修繕記録を重ねることで、白浜の風景を保つ部分と、裏方の性能を改める部分を選びやすくなります。[S1][S4][S5]

建物・街並み・湯の道具に残る価値
建物・場所年代・位置付け残したい特徴
崎の湯古い湯壺の記憶を伝える現在の共同浴場海へ開く湯面と、配湯・清掃を行う現代の設備が共存する。[S1]
南方熊楠記念館1965年開館、2017年新館開館文献や標本を保存し、番所山の自然と学びをつなぐ施設。[S5]
白良浜沿いの宿と街路時代ごとに整えられた海辺の滞在空間浜への出入り、眺望、塩害への手当てから温泉地の運営を読み取る。文化財指定を示す項目ではない。[S4]

05 / STAY THROUGH THE SEASONS

夏の浜を越えて、夕景と旬を訪ねる

白浜の季節は、夏の白良浜だけでなく、春秋の円月島、冬の魚料理、雨の日の展示室にも表れます。海況と日差しに合わせて行程を短くつなぎ、湯上がりに食卓や学びの時間を添えると、天候に左右され過ぎない滞在になります。浜と湯の歩き方を季節ごとに選びます。[S3][S4][S5][S7][S8]

春や秋は、円月島を望む海岸と番所山の記念館を旅の候補にできます。夕日が島の穴へ重なる景色は条件がそろった時の楽しみであり、毎日同じ位置に沈むものではありません。日没に向かって急ぐより、公開された場所で空の色が移る様子を待つ。小さな余白を残すことで、温泉地の夕方が豊かな時間になります。

夏は白良浜の明るさが際立ちます。強い日差しの時間を避けて浜を歩き、入浴と休憩を挟めば、一日の中に違う海の表情を見つけられます。千畳敷や三段壁など岩場の景勝地では、見学可能な区域と当日の天候に合わせて行き先を選びます。海辺の開放感は、足元に余裕を持った行程の中でゆっくり味わうのが似合います。

秋冬の食卓では、クエ料理や伊勢海老など、海の幸が旅の目的になります。天然か養殖か、仕入れの産地や提供方法は店ごとに異なり、その日の献立にも変化があります。柑橘や梅、かげろうのような菓子を組み合わせると、食事から土産まで土地の味が続きます。荒天の日には記念館と湯の時間を中心に据えることもできます。[S3][S4][S5][S7][S8]

春・秋

円月島の夕方を待つ

空と海の色を眺め、番所山の展示や散策を組み合わせる。夕日の位置は日によって変わる。[S3][S5]

夏

浜と湯で一日を区切る

白良浜の散策を朝夕へ寄せ、日中は休憩と文化施設を選ぶ。[S4][S5]

秋・冬

鍋と柑橘を訪ねる

クエ料理や旬の柑橘を候補に、湯で温まり店の食卓を楽しむ。[S7][S8]

南紀白浜・共同浴場「牟婁の湯」の外観
南紀白浜・共同浴場「牟婁の湯」の外観Photo: 663highland / CC BY 2.5

A WALK BETWEEN BATHS

湯の前後に、もうひと歩き。

海へ開いた湯を訪ねる

  1. 湯崎
  2. 崎の湯
  3. 周辺の公開街路

入浴の前後に海辺の地形を眺める。海況と浴場の現行案内に合わせて選ぶ。[S1]

夕景の浜を歩く

  1. 白良浜
  2. 海沿いの公開歩道
  3. 夕景の見える場所

日中と夕方の色の違いを楽しみ、足元が明るいうちに帰路を整える。[S4]

博物学と島影

  1. 南方熊楠記念館
  2. 番所山の公開区域
  3. 円月島を望む海岸

展示と眺望をつなぐ。島への上陸や閉鎖区域への立入りを含まない。[S3][S5]

TASTE OF THE REGION

クエ料理

鍋や刺身などで親しまれる白浜の味。天然・養殖、産地、入荷に応じた献立の違いも楽しむ。[S7][S8]

TASTE OF THE REGION

梅と柑橘

紀南の農の恵みが料理や土産に現れる。品種や加工による香りと酸味の違いが食卓を広げる。[S8]

TASTE OF THE REGION

かげろう

白浜の福菱がつくる、やわらかな生地とクリームの菓子。浜の余韻を持ち帰る一品。[S6]

開花や展示、見学の予定に合わせて、散策先を組み合わせてみてください。共同浴場や山道などの利用案内は、訪問前に公式サイトでご確認いただけます。写真は、それぞれの撮影時点の記録です。

06 / PRESERVING THE HERITAGE

海辺の古湯を使い続けるために

白浜の継承では、眺望、塩害、避難、配湯の条件が一つの敷地に集まります。海の近さを魅力として受け止めながら、建物と設備の履歴、営業と温泉の権利を別々の資料でそろえます。地図と現場を往復し、海況が変わる日にも回る運営へ落とし込みます。[S1][S2][L1][L2][L3]

海に向いた客室を残す計画でも、最初に設備室や外壁へ足を運ぶことが役立ちます。潮風で傷む場所と雨漏りの原因を分け、既存の配管系統、排湯、電気設備を図面へ書き込みます。建築の相談は用途や工事範囲を示して行い、現在使われているから将来も同条件で使えると見込まず、改修内容に応じた手続きを工程へ組み込みます。

源泉供給者と交わす契約は、建物の売買や旅館業の承継とは別の確認です。湯崎のどの源泉から何を供給され、休止時にどう連絡を受けるのかを整理します。海辺の敷地では自治体の防災情報と現況の避難動線も照らし合わせ、宿泊者だけでなく、外湯や食事で訪れる人の案内まで含めて、地域で働く人と運営を考えます。[S1][S2][L1][L2][L3]

01

文化と景観を残す

白良浜や円月島の眺望に対して、看板、照明、窓の反射がどう見えるかを海側と街路側から検討します。景勝地の名称を敷地全体の規制へ読み替えず、計画の対象地と行為を町へ示して相談します。[S3][S4][L1]

  • 眺望と夜間照明の現況
  • 敷地の地番と計画図
  • 町の景観・まちづくり窓口
02

建物の履歴と安全を調べる

海の近い宿では金属部、窓回り、屋上、設備架台の状態を重点的に調べます。既存不適格か違反かを言葉だけで決めず、確認済証、検査済証、増改築の記録を建築士と重ねて改修範囲を選びます。[S1][L1]

  • 建築・増築の履歴
  • 腐食と漏水の調査
  • 建築士と確認手続の相談
03

敷地と土地利用を確かめる

避難先への高低差や経路は、宿の立地ごとに確かめます。公園や海岸の区域と私有地の範囲、道路との関係を図面に重ね、必要な行為の許可や届出を自治体へ照会します。[S1][S4][L1]

  • 境界・接道・地盤の資料
  • 現行の防災情報
  • 町と県の対象地照会
04

温泉を使う権利を整える

崎の湯の供給者が明記されるように、源泉を所有することと湯を供給されることは別の形です。対象宿の源泉名、利用許可、配湯契約、名義変更の条件をそろえ、供給者と保健所へ相談します。[S1][S2][L3]

  • 源泉と浴槽の対応図
  • 利用許可・供給契約
  • 料金・休止・承継条項
05

営業の承継を日程へつなぐ

営業の譲渡を伴う時は、取引の方法と改修範囲を保健所へ示し、事前承認等の要否を整理します。温泉の利用や食事提供の手続も並べ、工事と引渡しのどちらが先かを工程で見えるようにします。[L2][L3]

  • 譲渡する事業の範囲
  • 厨房・客室・浴場の現況
  • 保健所との事前協議
06

湯守の仕事を引き継ぐ

湯の供給が止まる日、波や風が強い日にも対応できる手順を残します。配管の腐食、温度、清掃、設備点検の記録を担当者から受け取り、海況による利用変更の案内を宿泊者へ届く形に整えます。[S1][S2][L3]

  • 配湯と設備の点検簿
  • 清掃・温度管理の手順
  • 荒天時の連絡と案内

残す部分と、
直す仕事を同じ図面に。

文化財の指定・登録、景観や公園の区域、建物の適法性、営業・温泉の許可は、対象と手続が異なります。用途変更の200㎡という面積基準だけで工事全体の要否を判断せず、工事の種類、規模、既存建築の状態を整理し、建築士と所管窓口へ同じ計画を示して相談します。[NAT02][NAT03][NAT04]

07 / MORE VALUE, WITH MEMORY

眺めを消費せず、滞在の厚みにする

白浜で考えたい再生は、海の眺めに学びや食の時間を重ねることです。湯壺、記念館、夕景を一日に詰め込まず、天候に応じて選べる滞在を組み立てます。源泉と建物の維持費を見える形にし、浜辺の季節以外にも宿を訪ねる理由を丁寧につくります。[S1][S4][S5][L1][L2]

海水浴を中心にした旅へ、温泉史や熊楠の展示を加えると、同行者の関心が違っても過ごし方を選べます。宿が全てを自前で用意するのではなく、地域の公開施設や飲食店の案内を更新し、天候に合う短いコースを持つことから始められます。見学の予約や移動手段をそろえる仕事も、白浜の文化に触れる滞在を支える大切な接点です。

改修では、眺めのよい空間から順に飾り直すだけでなく、塩害の進む設備や窓回りを先に調べます。営業できる範囲と工事区画を検討し、休止日、清掃、人員、源泉の供給条件をそろえて段階を決めます。以下の案は文化と運営を結ぶための提案です。実施に向けては、所有者と運営者が調査結果を共有し、修理費と毎日の仕事を合わせて判断します。[S1][S4][S5][L1][L2]

MODEL 01

海と展示を往復する滞在

提案として、海岸散策と熊楠の展示を天候に合わせて選べる案内を宿に備えます。晴天を前提としない旅程にし、入浴と休憩を間に置くことで、同行者ごとの関心にも応えます。[S4][S5]

MODEL 02

食の季節から営業を組む

提案として、クエや柑橘などの旬と実際の仕入れを照合し、小さな献立から試します。産地や天然・養殖の表示を整え、提供できる日と人数に合わせて予約を受ける方法を検討します。[S7][S8]

MODEL 03

海辺の設備を先に守る改修

提案として、窓、金属部、配湯を先に調査し、眺望を残す内装更新と工程を分けます。維持費と休止日を見込んだうえで、使う客室の範囲から段階的に整えます。[S1][L1][L3]

改修費と、続けるための資金。

海辺の宿の資金計画では、内装や家具の前に、腐食対策、窓回り、給湯・配湯、避難案内の費用を見積もります。源泉供給料や保守費を通常の水道光熱費と分け、点検と交換がどの時期に必要かを記録から整理します。見積りの対象と工事中の営業範囲がそろえば、調達先へ示す資金の使い道も明確になります。

季節ごとの仕入れ、人件費、休館日の固定費、荒天による予定変更まで運転資金へ含めます。融資や支援制度は対象者、申請時期、着手の条件を個別に確かめ、採択や融資を前提に契約を進めません。浜の繁忙期だけに返済を頼らず、営業日と提供人数を変えた場合の収支も並べて検討します。[F1][L1][L2][L3]

設備資金・運転資金、事業の対象、組合等の条件により融資制度は異なります。実際の費用と営業計画をそろえ、融資・補助金の募集条件と支払時期を確かめて資金繰りを組み立てます。[NAT05][NAT06]

08 / MARKET & RELATED GUIDES

浜の来訪と、宿で過ごす時間を分ける

和歌山県全体の観光統計には、熊野、和歌山市域、高野山など性格の異なる旅が含まれます。白浜では海水浴、温泉、食、文化施設の利用を分けて捉え、県の伸びを宿の稼働へ置き換えないことが大切です。曜日と天候、移動手段まで合わせて滞在の条件を読みます。[S4][S5][S7][S8]

白浜の需要を考える時は、浜へ来た人が宿泊するのか、食事や入浴だけで帰るのかを分けます。夕景を眺める時間帯とチェックイン、食事の提供時刻が合うかによって、同じ立地でも過ごしやすさが変わります。県全体の宿泊数は背景として読み、個別宿では実際の予約経路、泊数、同行人数、利用月を整理して計画に生かします。

夏の来訪が多いという印象だけで人員や設備を決めると、冬の食事需要や荒天時の対応を見落とします。クエ料理、展示、温泉を目的にする旅がどの曜日に動くかを記録し、営業日と仕入れを調整します。空港や鉄道、路線バスからの最後の移動も確認し、車を使わない人が海と湯を行き来できるかを、現地の動線から検討します。[S4][S5][S7][S8]

観光庁2025年1〜12月確定値/都道府県全域の値
対象延べ宿泊者数外国人延べ宿泊者数外国人構成比リゾートホテル客室稼働率
和歌山県全域4,955,910人泊877,270人泊17.7%50.9%

外国人構成比は外国人延べ宿泊者数÷全体から算出。いずれも都道府県全域の統計で、この温泉地単独の集計や個別施設の売上・稼働率を示すものではありません。[MK01]

和歌山県全域の、
月別の宿泊者数。

県全域の季節変動を、その宿の客層や営業日、月別の販売実績と重ねます。地域全体の動きと個別の宿の運営を行き来しながら、滞在と事業の計画を考えます。

和歌山県の宿泊市場特集へ →
和歌山県の月別数値を表で確認する
和歌山県全域/2025年月別延べ宿泊者数
月人泊
1月309,700人泊
2月298,520人泊
3月474,680人泊
4月393,870人泊
5月459,180人泊
6月374,290人泊
7月430,950人泊
8月554,310人泊
9月387,420人泊
10月445,370人泊
11月456,590人泊
12月371,040人泊

09 / QUESTIONS

引き継ぐ前の疑問を、資料からほどく

源泉の供給や古湯の由緒、海辺の改修は、それぞれ確かめる資料が違います。土地の魅力を語ることと、営業に必要な条件を決めることを一つにせず、対象の浴槽、建物、事業を明らかにします。記録の残り方から相談の順番を整えると、継承の話が具体的になります。[S1][L1][L2][L3]

白浜の浴場はどこも同じ泉質ですか。

複数の源泉と泉質があります。崎の湯は行幸源泉のナトリウム塩化物泉と町が案内しますが、その情報を別の宿へ広げません。入浴する浴槽の分析書と利用状況の掲示を読みます。[S1][S2]

崎の湯で石鹸を使えますか。

町は浴槽の湯が海へ流れるため、石鹸、シャンプー、リンスを使えないと案内しています。出発前に現行の利用案内を読み、海況などによる変更にも合わせて行程を選びます。[S1]

熊楠記念館は熊楠が暮らした家ですか。

文献、標本、遺品を保存公開するために開館した記念館です。人物の資料と展示施設の建設年代を区別し、建物がそのまま旧居であるという説明にはしません。[S5]

海が見える宿を買えば源泉も使えますか。

所有権だけでは温泉の継続利用を判断できません。利用許可、源泉や配湯の契約、旅館業の承継手続きをそれぞれ調べ、供給者や保健所と条件をそろえて契約と工事の日程を決めます。[S1][L2][L3]

10 / PASS IT ON

この土地の湯を、次の担い手へ

波音のそばの湯、浜の夕暮れ、番所山で守られる資料は、白浜で過ごす一日の選択肢です。次の担い手へ渡す時は、その景色とともに、湯を送る契約、海辺の修繕記録、働く人の段取りをつなぎます。資料と現場をそろえ、残したい時間から宿の将来を考えます。[S1][L1][L2][L3]

残したい建物、引き継ぎたい仕事、守りたい屋号。今ある価値と、次に必要な手入れを言葉にするところから、宿の承継は始まります。

OWNERS

歴史ある湯宿を、
非公開で次へつなぐ。

施設名を伏せた下書きから、現在の営業、建物、温泉の条件を整理できます。公開を始める前の段階からご相談ください。

NEXT KEEPERS

受け継ぎたい価値から、
取得の条件を考える。

地域、予算、運営する人、必要な改修。大切にしたい文化と、続けられる事業の条件を整理して、次の宿との出会いに備えます。

売却・承継の前に、無料の計算ツールで手取りや税の目安を確かめられます。非公開での売却・保全のご相談はエージェントに相談、ご自身での登録は物件を登録からどうぞ。

編集:ジャパンリアルター株式会社 / 堤 誠之プロフィール / TSUNAGUの想い / 代表者note ↗

出典・写真・編集について

本文・統計の出典

  1. [F1] 日本政策金融公庫|創業計画書セルフチェック・資金計画

    設備資金と運転資金、見積りと調達方法の点検。

  2. [L1] e-Gov|建築基準法

    建物の用途、確認手続、大規模修繕、既存建築物の適用関係。

  3. [L2] e-Gov|旅館業法

    営業許可と事業譲渡の事前承認。

  4. [L3] e-Gov|温泉法

    温泉の掘削・採取・利用と地位承継に関する制度。

  5. [MK01] 観光庁|宿泊旅行統計調査・2025年確定値

    都道府県全域の2025年年計・月別データです。各温泉地や個別宿の実績ではありません。

  6. [NAT02] 国土交通省|既存建築物の活用の促進

    既存建築物の現況調査、改修と活用のためのガイドライン・制度資料を掲載しています。

  7. [NAT03] e-Gov法令検索|文化財保護法

    文化財の指定・登録、保存、現状変更と所有者変更などに関する法律の本文です。

  8. [NAT04] 環境省|国立公園における届出・申請

    区域と行為に応じて必要となる自然公園法上の許可・届出を案内しています。

  9. [NAT05] 日本政策金融公庫|一般貸付(生活衛生貸付)

    生活衛生関係営業の設備資金等について、対象と条件を案内しています。

  10. [NAT06] 日本政策金融公庫|振興事業貸付

    認定振興計画を持つ組合の組合員を対象とする融資と必要な証明を案内しています。

  11. [S1] 白浜町|白浜温泉 崎の湯

    行幸源泉の供給、泉質、海に流れる湯の利用上の案内。

  12. [S2] 南紀白浜観光協会|源泉豊富な南紀白浜

    古代の行幸と複数の源泉、源泉やぐら。

  13. [S3] 南紀白浜観光協会|円月島

    高嶋の形状と夕景の案内。

  14. [S4] 南紀白浜観光協会|南紀白浜の美しい夕景

    白良浜、千畳敷など海岸の眺望。

  15. [S5] 南方熊楠記念館

    熊楠の文献・標本・遺品の保存公開、開館と新館の経緯。

  16. [S6] 福菱|かげろう

    白浜の菓子と製造の工夫。

  17. [S7] 南紀白浜観光協会|白浜温泉グルメ

    クエ料理と土地の魚介。

  18. [S8] 南紀白浜観光協会|旬の食材カレンダー

    魚介、柑橘、梅など季節の食材。

確認日:2026年10月29日。伝承、史料、分析値、建築・保存の記録と、編集上の再生提案を分けて記述しています。

写真の撮影地・利用条件

写真は各配布元の利用条件に従って掲載しています。撮影時点の景観・設備であり、現在の営業状況や、紹介施設が売却対象であることを示すものではありません。

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