TSUNAGUホテル・旅館の売買・M&Aプラットフォーム
山代温泉・雪をまとった湯の町の建物
山代温泉・雪をまとった湯の町の建物Photo: Aspere / CC0

HERITAGE ONSEN 100 — 11

守るべき日本の歴史・財産
名湯・秘湯遺産 厳選100撰

石川県 / 千年古湯・風土記と文人の湯

山代温泉。
総湯を囲む町で、湯と器の時間を味わう。

山代温泉では、総湯を中心に宿や店が並ぶ湯の曲輪を歩き、九谷焼の色や魯山人の仕事に出会えます。古総湯で明治の入浴文化を体験し、器を選び、茶を飲む。復元と実物、古い意匠と現在の湯守の仕事を読み分けながら、湯と手仕事を次の世代へ渡す価値をたどります。[S2][S4]

歴史

開湯の伝承に、再興九谷の窯と魯山人の滞在が重なる。

価値

総湯を囲む湯の曲輪で、湯と九谷焼、茶や食を歩いて結べる。

未来

復元の知恵と景観の基準、配湯の記録を宿の再生へつなぐ。

HISTORY / VALUE / THE NEXT CHAPTER

残したい風景と、
湯のある暮らし。

山代温泉・鳥居から望む町の風景
山代温泉・鳥居から望む町の風景Photo: Aspere / CC0

古総湯のまわりを歩くと、浴場、店、旅館、社寺が近くに集まる湯の曲輪の形が見えてきます。山代の旅は、遠い名所を数多く巡ることから始めなくてもよいのです。入浴のあとにはづちを楽堂で休み、九谷焼の器を眺め、魯山人が仕事をした場所へ向かう。短い距離の中に、湯とものづくりを味わう時間が重なっています。

現在の古総湯は、明治の共同浴場を復元した建物です。その意匠が伝える時代と、現代に再生した仕事を分けると、保存の意味が深まります。窯跡、寓居、浴場にはそれぞれ異なる来歴があり、湯の供給や衛生の仕組みも別に調べる情報です。町の風景と働く人の手順を一緒に見て、使い続けるための継承を考えます。[S2][S4]

※本ページは地域の温泉文化・歴史遺産の解説であり、掲載写真や施設が売却案件であることを示すものではありません。

TSUNAGU独自の編集企画「名湯・秘湯遺産100撰」の第11撰です。公的な認定や順位を表すものではありません。

02 / HISTORY & MEMORY

湯の曲輪と、器を生む町

山代には、ヤタガラスに結び付く開湯の伝承と、総湯を囲む湯の曲輪の文化があります。九谷焼の再興や魯山人の滞在を重ねて読むと、湯を楽しむ人と器をつくる人が近くにいたことが分かります。伝承と実物の来歴を分け、町の中で育った交流をたどります。[S2][S4][S7][S10]

共同浴場を中心に宿や店が並ぶ湯の曲輪は、湯を使う行動が町の形になった場所です。開湯にまつわる鳥や僧の物語は由緒として楽しみ、現在の建物や設備の年代とは分けて読みます。歩いてひと巡りすると、入浴、食事、参拝、買い物の場所が近いことに気付きます。湯治の時間を支える町の構造が、今の短い散歩にも生きています。

九谷焼の歴史には、古九谷の記憶と、後に再び焼くことを目指した窯の仕事があります。吉田屋窯は一八二六年に山代へ移り、窯主を変えながら使われました。窯跡や展示を訪ねると、完成した器の色だけでなく、焼く場所、燃料、運ぶ道の条件へ視野が広がります。工芸は美しい品と、それをつくり届ける仕組みの両方から読めます。

若い魯山人は当時福田大観と名乗り、一九一五年秋から翌年にかけ山代で看板を彫りました。須田菁華らとの交流と陶芸への関心は、寓居の資料が伝えています。著名人が泊まったという一言だけでなく、仕事部屋、書斎、食卓の関係をたどると、人を迎える宿が創作の機会を育てたことが分かります。[S2][S4][S7][S10]

  1. 開湯伝承

    ヤタガラスと湯の由緒

    土地の象徴に結び付く物語として伝わる。[S10]

  2. 1826年

    吉田屋窯を山代へ移す

    再興九谷の仕事が山代で続く。[S7]

  3. 1915〜1916年

    魯山人が滞在

    看板の制作と陶芸、交流の時間を寓居の資料が伝える。[S4]

  4. 2002年

    いろは草庵を一般公開

    母屋と土蔵を使う文化施設となる。[S5]

  5. 2009年

    現在の総湯を整備

    旧旅館跡で日常と旅の入浴を迎える。[S11]

  6. 2010年

    古総湯を復元

    明治の入浴文化を体験する空間が加わる。[S10][S11]

北大路魯山人(当時福田大観)

いろは草庵・須田菁華窯

1915〜1916年に滞在し、看板を彫り、陶芸の手ほどきを受けた。[S4]

初代須田菁華

須田菁華窯

山代に窯を築き、魯山人に陶芸を教えた人物として紹介される。[S3][S4]

吉野治郎

いろは草庵・旧吉野屋の記憶

吉野屋旅館の主人。仕事場として別荘を提供し魯山人を迎えた。[S4]

03 / THE WATER & ITS KEEPERS

総湯と古総湯、入り方を選ぶ

山代の総湯と古総湯は、共同浴場の文化を異なる使い方で伝えます。古総湯にはカランやシャワーがなく、石鹸等を使わない入浴を案内しています。湯の歴史を体験する場所と、日々の入浴の役割を読み分け、対象の源泉と利用方法から湯守の仕事を知ります。[S1][S2][L3]

古総湯では、色ガラスや九谷焼タイルの光を浴槽から眺める時間が印象に残ります。体験するのは復元された明治の雰囲気であり、現在の利用条件と衛生の運営に支えられています。洗い場のある浴場と同じ支度をせず、公式の使い方を先に読みます。湯を急いで消費せず、二階で休む時間まで含めて味わうことが似合う場所です。

公式案内は、古総湯の泉質をナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉と紹介します。この分類と、源泉温度、浴槽温度、加水・加温等の状況は別の情報です。町全体の一つの数値を置かず、利用する浴場の分析書と掲示を読みます。熱い源泉を使いやすくする方法にも目を向けると、温泉の印象が設備と人の仕事へつながります。

総湯では浴槽の入れ替えや清掃、地元作家のタイルも紹介されています。町の人と旅人が同じ浴場を使うためには、日々の手順が欠かせません。宿の継承でも、どの源泉をどの浴槽へ送るか、供給の名義と利用許可、清掃や温度の記録をそろえます。古い湯の呼び名だけで将来の供給や身体への結果を約束しないことが大切です。[S1][S2][L3]

泉質・源泉と、資料が示す範囲
対象泉質・湯の特徴温度pH分析日・資料の時点確認範囲
古総湯の公式紹介ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)源泉と浴槽の掲示で確認分析書で確認施設掲示で確認古総湯の泉質紹介。山代全域の数値を代表する分析表ではない。[S1]

源泉の分析と、浴槽で使う湯を読み分ける。

分析書の源泉名・採水場所・年月日と、施設が掲示する加水・加温・循環・消毒の方法を合わせて確認します。地域に複数の源泉がある場合、ひとつの値をすべての湯宿や浴槽へ当てはめず、訪れる施設の最新の掲示を読んで入浴します。

山代温泉・雪の残る通り
山代温泉・雪の残る通りPhoto: Aspere / CC0

04 / ARCHITECTURE & TOWNSCAPE

復元の浴場と、使い継ぐ寓居

山代の古総湯は、明治の共同浴場を二〇一〇年に復元した建物です。九谷焼タイルや色ガラスの意匠を楽しみながら、当時の部材が全て残る建物とは分けます。いろは草庵や窯跡展示館の異なる来歴も合わせると、復元、保存、用途を変える継承の方法が見えてきます。[S5][S8][S10][S11][L1]

山代温泉・共同浴場へ向かう路地
山代温泉・共同浴場へ向かう路地Photo: Aspere / CC0

古総湯のこけら葺きや二階の窓、拭き漆とタイルは、明治の浴場の姿を体験するために再現されています。今見える建築の成立を知ることは情緒を損なわず、再生した仕事への理解を深めます。復元に必要な調査と技術、日々の掃除や部材の補修まで考えると、文化を伝える建築を運営する意味が具体的になります。

いろは草庵は、明治初期に建てられたとされる母屋と土蔵を使い、二〇〇二年から一般公開する施設です。魯山人がいた場所を見せるため、現在の公開機能が加えられています。文化財の登録、実際の使用、案内のための整備は分けて読みます。室内の仕事と交流の記憶を残すことと、訪れる人を迎える性能を整えることを一緒に考えられます。

窯跡展示館では、地下の窯跡、後の登り窯、住居兼工房だった展示棟を読み分けられます。史跡と市の文化財は対象も時代も同じではありません。宿を改める際にも、古いものを一括して保存すると言う前に、材料や部屋、設備の履歴を分けることが役立ちます。残す理由が明らかになるほど、更新する部分も選びやすくなります。[S5][S8][S10][S11][L1]

建物・街並み・湯の道具に残る価値
建物・場所年代・位置付け残したい特徴
山代温泉古総湯2010年、明治の共同浴場を復元こけら葺き、色ガラス、九谷焼タイルと入浴文化を体験できる。[S1][S11]
魯山人寓居跡いろは草庵明治初期の建物と伝わる、2002年公開母屋と土蔵を生かし、仕事と交流の記憶を伝える国登録有形文化財。[S5]
九谷焼窯跡展示館の遺構・建物再興九谷の窯跡と後の登り窯・展示棟史跡と市文化財など異なる対象を読み、焼く工程と暮らしを知る。[S7][S8]

05 / STAY THROUGH THE SEASONS

湯の周りに、器と茶の時間を置く

山代では、季節の景色に加えて、九谷焼の店や展示、総湯と茶店を短く巡れます。新緑の日は社寺や小径、雨や雪の日は屋内の鑑賞と入浴を選ぶ。湯の曲輪を一巡する間に休む場所を挟むことで、天候に左右され過ぎず、町に留まる一日を楽しめます。[S1][S3][S9][S10][S12]

春から夏は、服部神社や薬王院温泉寺の周辺、あいうえおの小径を散歩の候補にできます。社寺の由緒は伝えられる範囲で読み、階段や坂は体調に合う順路を選びます。木陰から湯の曲輪へ戻り、茶や温泉玉子を味わう。短い往復の中で空気が変わることが、温泉街を歩く楽しみになります。

秋は木々の色とともに、器を選ぶ時間を長く取れます。店や展示施設は仕事や休みの条件があるため、現行案内を読み、一つをじっくり訪ねます。完成した作品と制作する道具、窯の跡を順に知ると、食卓で器を見る目も変わります。作陶や絵付けの体験は受け入れ条件をそろえ、いつでもできると約束せずに計画します。

冬や雨の日は、二つの総湯と屋内の展示、茶店の時間を軸にします。温泉まんじゅう、棒茶と甘味、柿の葉寿司など、土地の食は器の文化とつながる入口です。献立や店の利用は現行案内で選び、雪の道を長く歩く前提にしません。湯から出てゆっくり座る場所を先に決めておくと、寒い日にも落ち着いた滞在になります。[S1][S3][S9][S10][S12]

春・夏

社寺の緑と湯の曲輪

坂や階段を選びながら短く歩き、総湯と茶店を間に置く。[S2][S10]

秋

器の色をゆっくり選ぶ

展示や店を一つずつ訪ね、体験は受け入れ条件に合わせる。[S3][S8]

冬・雨の日

湯と茶に腰を落ち着ける

屋内の鑑賞と入浴を中心に、棒茶と菓子の時間を長めに取る。[S1][S9]

山代温泉・雪の積もる石碑と案内
山代温泉・雪の積もる石碑と案内Photo: Aspere / CC0

A WALK BETWEEN BATHS

湯の前後に、もうひと歩き。

総湯を囲むひと巡り

  1. 古総湯
  2. 総湯
  3. はづちを楽堂

二つの浴場の役割を知り、茶や器の店で休む。[S1][S2]

魯山人の仕事を訪ねる

  1. いろは草庵
  2. 湯の曲輪
  3. 須田菁華窯の外観

公開条件に合わせて寓居を見学し、仕事場と交流をたどる。工房への無断立入りはしない。[S3][S4][S5]

窯の工程と町の道

  1. 湯の曲輪
  2. 九谷焼窯跡展示館
  3. 帰路の公開街路

窯跡と復元・保存施設、展示棟を読み分け、完成品の向こうの仕事を知る。[S3][S8]

TASTE OF THE REGION

温泉たまご

総湯の売店などで紹介される味。湯上がりの小さな食の時間に選べる。[S2][S12]

TASTE OF THE REGION

棒茶と和の甘味

はづちを茶店のぜんざいや団子などが散歩の休憩をつくる。器とともに味わいたい。[S9]

TASTE OF THE REGION

柿の葉寿司

すし飯としめ鯖、具を柿の葉へ盛る土地の料理が協会の冊子で紹介される。予約や献立は現行案内による。[S12]

開花や展示、見学の予定に合わせて、散策先を組み合わせてみてください。共同浴場や山道などの利用案内は、訪問前に公式サイトでご確認いただけます。写真は、それぞれの撮影時点の記録です。

06 / PRESERVING THE HERITAGE

湯の曲輪の基準と、一棟の履歴を重ねる

山代の継承では、湯の曲輪の景観整備地区と、個々の建物の来歴を重ねて読みます。古総湯の復元を別の宿へそのまま当てはめず、残す部材、構造、設備を具体化します。源泉や供給と営業の条件も別にそろえ、文化の見える表側と日々の裏方を一緒に整えます。[S5][S6][S8][L1][L2][L3]

加賀市は景観整備地区の区域と基準を公表し、地区内の対象行為には届出が必要と案内しています。対象宿の地番と外観、外構、照明の計画を示し、どの区域と行為に当たるかを相談します。復元の浴場、登録された寓居、史跡の窯跡を一つの制限と考えず、それぞれの名称と範囲から資料をそろえます。

宿の現況では、浴場の湿気、配管、増築の接続、調理や清掃の動線を調べます。確認・検査や修繕の資料を建築士と重ね、既存不適格等の適用関係と工事の条件を整理します。売買と同時に温泉や営業も移ると見込まず、供給者、保健所等と名義と手続きをそろえ、調査が終わる条件を契約と工程へ反映します。[S5][S6][S8][L1][L2][L3]

01

文化と景観を残す

湯の曲輪景観整備地区の区域と基準を読み、屋根、格子、看板、照明を調べます。復元建築と登録建物、窯跡の指定は対象を分け、残す価値を市へ相談します。[S5][S6][S8]

  • 区域と景観形成基準
  • 意匠と立面の計画
  • 市建築課・文化財担当
02

建物の履歴と安全を調べる

古い宿の確認・検査、増築と用途の履歴を現況図面へ重ねます。文化財登録があっても安全や営業継続の保証にせず、構造、防火、換気、避難を工事ごとに検討します。[S5][L1]

  • 棟別の履歴と図面
  • 湿気・構造・設備調査
  • 建築士との事前協議
03

敷地と土地利用を確かめる

総湯近くという立地だけで規制を判断せず、敷地の境界、道路、地下の工事範囲を特定します。史跡や埋蔵文化財に関わる可能性は地番と計画を市へ示して照会します。[S6][S8][L1]

  • 境界・接道・地番
  • 掘削と外構の計画
  • 市の区域・対象行為照会
04

温泉を使う権利を整える

源泉名と供給系統、利用許可と契約を一組にします。共同浴場の泉質で対象宿を代用せず、名義変更、供給の範囲、停止時の条件を供給者や保健所へ確かめます。[S1][L3]

  • 源泉別の分析書
  • 温泉利用許可と契約
  • 供給・保守・承継条項
05

営業の承継を日程へつなぐ

旅館業の譲渡と改修、食の提供範囲を図面で整理します。温泉の手続とは別に事前承認等の要否を保健所へ相談し、引渡しと工事の順を条件に合わせて決めます。[L2][L3]

  • 営業と譲渡の範囲
  • 厨房・浴場・客室図面
  • 保健所との工程相談
06

湯守の仕事を引き継ぐ

浴槽の温度、清掃、衛生、配管やタイルの点検を記録します。器や木部は補修の相手と扱い方も引き継ぎ、意匠を残す日々の作業を現場の人と共有します。[S1][S3][L3]

  • 湯と換気の点検簿
  • タイル・木部の補修記録
  • 清掃と設備停止の手順

残す部分と、
直す仕事を同じ図面に。

文化財の指定・登録、景観や公園の区域、建物の適法性、営業・温泉の許可は、対象と手続が異なります。用途変更の200㎡という面積基準だけで工事全体の要否を判断せず、工事の種類、規模、既存建築の状態を整理し、建築士と所管窓口へ同じ計画を示して相談します。[NAT02][NAT03][NAT04]

07 / MORE VALUE, WITH MEMORY

湯と器を、使う文化として渡す

山代での再生は、九谷焼を飾るだけでなく、湯上がりの食卓や茶の時間で使うことから考えられます。作り手と補修の相談をつなぎ、宿の設備を先に整える。湯の曲輪の店や公開施設へ無理のない人数を案内し、町の文化を日々使い続ける滞在を育てます。[S3][S4][S5][L1][L3]

器を選ぶ時に材料や作り手、扱い方を伝えると、食事の時間から町の散歩へ関心が生まれます。店や工房の見学は仕事の都合を尊重し、宿が全てを自前で用意する必要はありません。魯山人の寓居で知る仕事と交流の関係を参考に、読書や茶、少人数の対話ができる場所を整えることも、文化に泊まる時間につながります。

改修は、湯の系統と換気、清掃や配膳を先に調べ、残す客室や意匠を選びます。復元や登録建物の公開には目的ごとの条件があるため、魅力ある実例をそのまま別の宿へ移しません。以下は調査後の提案であり、紹介する施設の実施計画や売却、成果を示すものではありません。働く人が続けられる範囲から段階的に育てます。[S3][S4][S5][L1][L3]

MODEL 01

器を使って知る食卓

提案として、九谷焼の扱い方と作り手を短く伝え、食後に店や展示へつなぎます。補修や追加注文も相談し、器を日々使える体制を整えます。[S3][S4]

MODEL 02

二つの総湯を選ぶ滞在

提案として、総湯と古総湯の使い方を分けた案内を用意します。町の浴場と店を生かし、宿には外出の支度と戻って休む空間を設けます。[S1][S2]

MODEL 03

意匠と裏方を分けた更新

提案として、残す部材、客室、外観を選び、配湯と換気、避難を先に調査します。登録や景観の条件を踏まえ、使う範囲から段階的に改めます。[S5][S6][L1][L3]

改修費と、続けるための資金。

山代の資金計画では、保存する木部や意匠、浴場のタイル、配湯、換気、防火、客室設備を分けて見積もります。工芸品を導入する場合は購入と補修、追加調達の費用も含めます。区域と建物の相談、調査、設計、工事の順を示し、営業しない期間の固定費を資金の使い道へ加えます。

平日と繁忙期、館内の食事と町へ出る滞在で、人員や清掃、仕入れの費用を比較します。融資や支援制度は申請者、対象経費、着手時期を確認し、文化財や温泉地という名称だけで利用できると決めません。温泉と営業の承継を引渡しの日程に重ね、売上が立つ前の運転資金も計画へ含めます。[F1][L1][L2][L3]

設備資金・運転資金、事業の対象、組合等の条件により融資制度は異なります。実際の費用と営業計画をそろえ、融資・補助金の募集条件と支払時期を確かめて資金繰りを組み立てます。[NAT05][NAT06]

08 / MARKET & RELATED GUIDES

加賀の周遊と、山代の滞在を分ける

石川県の観光には、金沢、能登、加賀など条件の異なる地域が含まれます。山代では総湯、工芸の見学、食と宿泊を分け、県全体の数字を宿の需要へ置き換えません。県内の一部地域の状況も一律に広げず、対象宿の予約、移動と現在の営業条件から滞在を読みます。[S1][S3][S10]

加賀温泉郷の中でも、山代の湯の曲輪、山中の渓谷、片山津の湖では過ごし方が異なります。周遊の一部として来る人と、湯と器を目的に泊まる人を分けます。個別宿では予約経路、泊数、同行者、食事と到着時刻を記録し、公共交通からの最後の移動も現地で確かめます。広い県の動向は背景として読みます。

新しい交通の印象や休日の賑わいだけで客室を増やさず、通常の平日にどの人数で料理、湯、清掃を回せるかを整理します。展示や工房の休みと宿の案内を合わせ、雨や雪でも過ごせる選択肢をつくります。災害後の状況は地域と時点を明示した現行情報で確認し、古い写真から営業やアクセスを推測しないことが大切です。[S1][S3][S10]

観光庁2025年1〜12月確定値/都道府県全域の値
対象延べ宿泊者数外国人延べ宿泊者数外国人構成比リゾートホテル客室稼働率
石川県全域9,516,310人泊2,142,820人泊22.5%17.1%

外国人構成比は外国人延べ宿泊者数÷全体から算出。いずれも都道府県全域の統計で、この温泉地単独の集計や個別施設の売上・稼働率を示すものではありません。[MK01]

石川県全域の、
月別の宿泊者数。

県全域の季節変動を、その宿の客層や営業日、月別の販売実績と重ねます。地域全体の動きと個別の宿の運営を行き来しながら、滞在と事業の計画を考えます。

石川県の宿泊市場特集へ →
石川県の月別数値を表で確認する
石川県全域/2025年月別延べ宿泊者数
月人泊
1月594,970人泊
2月607,670人泊
3月791,140人泊
4月802,540人泊
5月855,380人泊
6月660,750人泊
7月758,640人泊
8月961,380人泊
9月734,640人泊
10月928,970人泊
11月986,260人泊
12月833,980人泊

09 / QUESTIONS

引き継ぐ前の疑問を、資料からほどく

古総湯の復元、寓居の登録、窯跡の指定は、異なる保存の方法です。建物と地域の名前から一律の制限を想像せず、対象と範囲を確かめます。湯の利用と営業も別に資料をそろえることで、湯の曲輪の魅力を残しながら現場で働ける宿の条件を具体的に相談できます。[S1][L1][L2][L3]

古総湯は明治時代の建物がそのまま残るのですか。

2010年に明治の総湯を復元した建物です。タイルや色ガラス等の意匠を体験できますが、全ての部材が明治期から残るという説明にはしません。[S10][S11]

古総湯で身体を洗えますか。

カランやシャワーがなく、石鹸やシャンプー等を使えないと公式案内にあります。総湯とは使い方を分け、現在の利用案内を読んで支度します。[S1]

魯山人は山代に暮らしたのですか。

1915年秋から翌年にかけ、看板の仕事のため約半年滞在したと寓居の資料が伝えます。長年の居住とせず、仕事と須田菁華らとの交流を具体的に紹介します。[S4][S5]

湯の曲輪の宿は同じ改修基準ですか。

景観整備地区の範囲と対象行為、建物の登録や履歴を個別に読みます。地番と図面を示し、景観、建築、温泉と営業の担当へ必要な条件を相談します。[S6][L1][L2][L3]

10 / PASS IT ON

この土地の湯を、次の担い手へ

湯に入り、器を眺め、茶を飲んでひと休みする。山代では、その短い往復の中に文化が息づいています。次の担い手へ渡す時は、意匠や魯山人の記憶とともに、源泉、建物、供給と営業の記録をそろえます。使う人とつくる人の関係から、湯の曲輪の未来を考えていきます。[S1][L1][L2][L3]

残したい建物、引き継ぎたい仕事、守りたい屋号。今ある価値と、次に必要な手入れを言葉にするところから、宿の承継は始まります。

OWNERS

歴史ある湯宿を、
非公開で次へつなぐ。

施設名を伏せた下書きから、現在の営業、建物、温泉の条件を整理できます。公開を始める前の段階からご相談ください。

NEXT KEEPERS

受け継ぎたい価値から、
取得の条件を考える。

地域、予算、運営する人、必要な改修。大切にしたい文化と、続けられる事業の条件を整理して、次の宿との出会いに備えます。

売却・承継の前に、無料の計算ツールで手取りや税の目安を確かめられます。非公開での売却・保全のご相談はエージェントに相談、ご自身での登録は物件を登録からどうぞ。

編集:ジャパンリアルター株式会社 / 堤 誠之プロフィール / TSUNAGUの想い / 代表者note ↗

出典・写真・編集について

本文・統計の出典

  1. [F1] 日本政策金融公庫|創業計画書セルフチェック・資金計画

    設備資金と運転資金、見積りと調達方法の点検。

  2. [L1] e-Gov|建築基準法

    建物の用途、確認手続、大規模修繕、既存建築物の適用関係。

  3. [L2] e-Gov|旅館業法

    営業許可と事業譲渡の事前承認。

  4. [L3] e-Gov|温泉法

    温泉の掘削・採取・利用と地位承継に関する制度。

  5. [MK01] 観光庁|宿泊旅行統計調査・2025年確定値

    都道府県全域の2025年年計・月別データです。各温泉地や個別宿の実績ではありません。

  6. [NAT02] 国土交通省|既存建築物の活用の促進

    既存建築物の現況調査、改修と活用のためのガイドライン・制度資料を掲載しています。

  7. [NAT03] e-Gov法令検索|文化財保護法

    文化財の指定・登録、保存、現状変更と所有者変更などに関する法律の本文です。

  8. [NAT04] 環境省|国立公園における届出・申請

    区域と行為に応じて必要となる自然公園法上の許可・届出を案内しています。

  9. [NAT05] 日本政策金融公庫|一般貸付(生活衛生貸付)

    生活衛生関係営業の設備資金等について、対象と条件を案内しています。

  10. [NAT06] 日本政策金融公庫|振興事業貸付

    認定振興計画を持つ組合の組合員を対象とする融資と必要な証明を案内しています。

  11. [S1] 山代温泉観光協会|総湯と古総湯

    二つの共同浴場、古総湯の復元、泉質と利用方法。

  12. [S10] 加賀温泉郷公式|山代温泉街を遊びつくそう

    湯の曲輪、社寺、2010年の古総湯。

  13. [S11] 加賀温泉郷公式|温泉郷探究ワークブック

    2009年総湯と2010年古総湯の整備。

  14. [S12] 山代温泉観光協会|散策パンフレット

    柿の葉寿司、温泉たまご、九谷焼と町歩き。

  15. [S2] 同|湯の曲輪をそぞろ歩く

    総湯と旧吉野屋旅館、はづちを楽堂。

  16. [S3] 同|九谷焼のふるさとを訪ねて

    九谷焼の施設、作り手、魯山人と窯。

  17. [S4] いろは草庵|山代温泉と魯山人

    1915〜1916年の滞在、看板、須田菁華らとの交流。

  18. [S5] いろは草庵|利用・施設案内

    明治初期の建物、2002年公開、母屋と土蔵の活用。

  19. [S6] 加賀市|景観整備地区

    山代温泉湯の曲輪の区域と景観形成基準・届出。

  20. [S7] 加賀九谷陶磁器協同組合|加賀九谷について

    1826年の山代への移窯と窯の継続。

  21. [S8] 加賀温泉郷公式|九谷焼のふる里

    窯跡、登り窯、展示棟の異なる指定と年代。

  22. [S9] 山代温泉観光協会|やましろスイーツ探訪

    棒茶と甘味、温泉玉子、温泉まんじゅう。

確認日:2026年10月29日。伝承、史料、分析値、建築・保存の記録と、編集上の再生提案を分けて記述しています。

写真の撮影地・利用条件

写真は各配布元の利用条件に従って掲載しています。撮影時点の景観・設備であり、現在の営業状況や、紹介施設が売却対象であることを示すものではありません。

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