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塩原温泉郷・紅葉に包まれた湯の風景
塩原温泉郷・紅葉に包まれた湯の風景Photo: Raita Futo from Tokyo, Japan / CC BY 2.0

HERITAGE ONSEN 100 — 68

守るべき日本の歴史・財産
名湯・秘湯遺産 厳選100撰

栃木県 / 霊峰・信仰・世界遺産と結びつく湯

塩原温泉郷。
十一の湯と川辺の記憶を、歩いてつなぐ

箒川の流れに沿って、湯の色も町の表情も変わる塩原。元湯から門前、古町へ、十一湯の違いを知るほど一泊の楽しみが深まります。文人の足跡や御用邸の建築、吊橋と食堂のある道を訪ね、源泉と暮らしを受け継いできた温泉郷の、これからの姿を考えます。[1][2]

歴史

元湯に伝わる806年の開湯伝承と、江戸期の湯治、近代の文学・避暑という時間が重なる。

価値

箒川沿いの十一地区に、源泉と泉質、集落の風景が分かれて残る温泉郷。

未来

源泉ごとの条件と川辺の歩行環境を整え、宿から町へ出かける滞在を育てる。

HISTORY / VALUE / THE NEXT CHAPTER

残したい風景と、
湯のある暮らし。

塩原温泉・天皇の間記念公園の建物
塩原温泉・天皇の間記念公園の建物Photo: Abasaa / Public domain

橋の上で足を止めると、川音が建物の間からも聞こえてきます。箒川の渓谷に点在する塩原十一湯は、一つの大きな浴場を囲む町ではありません。大網、福渡、門前、古町、元湯や新湯など、地形と湧出の場所に応じて集落が育ちました。同じ塩原という名の宿でも、窓から見る川、坂の向き、湯の香りが異なる。その違いを旅の楽しみとして受け取れる土地です。

温泉の歴史を読む入口には、資料を集める塩原もの語り館があります。そこから文学碑のある妙雲寺へ歩き、食堂で土地の味に出会い、夕方に宿の湯へ戻る。歴史と自然と食が、日常の道でつながります。受け継ぎたいのは建物の外観だけではなく、この往復が続く町の仕組みです。川辺の景観、源泉の供給、宿の仕事を一緒に見ると、残す価値と改める仕事が具体的になります。[1][2]

※本ページは地域の温泉文化・歴史遺産の解説であり、掲載写真や施設が売却案件であることを示すものではありません。

TSUNAGU独自の編集企画「名湯・秘湯遺産100撰」の第68撰です。公的な認定や順位を表すものではありません。

02 / HISTORY & MEMORY

湯治の村から、文学と避暑の温泉郷へ

塩原の歴史は、十一の地区を一つの創業年で説明するより、元湯の開湯伝承、災害後の移住、近代の道と文学を重ねて読むと豊かになります。湯を守る人、川を渡る人、長く滞在した人の営みが、宿と川の間にある、いま歩ける町の場所ごとに残っています。[1][2][3][4]

開湯の物語は、806年に如葛仙が現在の元湯で温泉を見いだしたとする伝承へさかのぼります。商工会の歴史解説は、1402年の湯銭に関する記録も紹介しています。伝承と記録を分けてたどると、湯が信仰の対象であると同時に、宿や村の暮らしを支える大切な資源だったことが伝わります。源泉の場所と集落の成り立ちを、一緒に地図で見たいところです。

1659年の災害で元湯の集落が被災し、一部の湯屋が現在の新湯を興したと、地域の歴史資料は述べています。温泉郷の歴史には、失われた場所と移って続いた営みも含まれます。湯を守るとは、昔の景色をそのまま留めることだけではありません。自然の変化に向き合い、別の場所や方法で仕事を受け渡してきた経験も、塩原を理解する手がかりになります。

明治以降は道や鉄道との接続が整い、文学や避暑の土地としても知られるようになりました。田山花袋が1918年の『温泉めぐり』で用いた温泉郷という表現も、市が紹介する塩原の物語です。作品の言葉と実際の川辺を比べ、もの語り館で文人たちの記憶へ触れる。長く泊まることで、通り過ぎるだけでは気づきにくい土地の時間を味わえます。[1][2][3][4]

  1. 806年(伝承)

    元湯の開湯を伝える

    如葛仙が湯を見いだしたという地域の伝承。[2]

  2. 1402年

    湯銭の記録

    地域の歴史解説に、元湯の湯銭を寄進させた記録が紹介される。[2]

  3. 1659年

    被災と新湯への移住

    元湯の災害後、一部の湯屋が新たな湯治の場所を興したと伝える。[2]

  4. 1918年

    田山花袋の温泉めぐり

    市は塩原十一湯と温泉郷という表現の関係を紹介している。[1]

  5. 1981年

    天皇の間の移築保存

    旧塩原御用邸の一部を現在地へ移し、県指定文化財として保存。[5]

田山花袋

塩原十一湯・地域の文学展示

1918年の『温泉めぐり』と塩原の「温泉郷」という表現について市が紹介する文学者。[1]

妙雲

妙雲寺・門前

妙雲寺の開創者として観光庁の地域解説が伝える尼。寺の由緒と境内の文学碑を合わせて読む。[3]

03 / THE WATER & ITS KEEPERS

同じ塩原でも、湯の個性は源泉ごとに

塩原十一湯は、多様な源泉をまとめた地域の呼び名です。硫黄泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉などが分布し、色や香りも一様ではありません。宿と浴槽の表示を読みながら違いを楽しみ、湯を届ける配管や手入れまで、その場所の個性として眺めます。[1][9]

湯を選ぶ楽しみは、山道を移るにつれて表情が変わることです。観光庁の解説は、塩原に塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫黄泉、硫酸塩泉、酸性泉、単純泉があると紹介しています。これは温泉郷の多様性を表す説明で、一つの宿が全種類を使っているという意味ではありません。泊まる場所を決めたら、その浴槽がどの源泉を使うかへ目を向けると、旅の関心が深まります。

白く濁る湯や透明な湯を見ても、見た目だけで成分や温度は決まりません。分析書は採取した源泉と時点の記録で、実際に入る浴槽には加水、加温、循環など利用方法の表示があります。入浴前に二つを合わせて読むと、源泉の性質と提供の工夫が分かります。泉質を楽しむことと、病気を治す約束とは分けて、体調に合わせた滞在を組み立てます。

宿を引き継ぐ計画では、土地や建物の資料に源泉の記録も重ねます。自家源泉か配湯か、誰が配管を点検し、故障時にどこへ連絡するかを、現場を歩いて確かめる仕事です。析出物の清掃や湯量の調整は、湯守の経験が役立つ場面です。日々の記録と担当者の説明を受け取ると、湯の違いを残しながら、次の運営へ無理なく渡す準備ができます。[1][9]

泉質・源泉と、資料が示す範囲
対象泉質・湯の特徴温度pH分析日・資料の時点確認範囲
塩原十一湯という地域の総称塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫黄泉・硫酸塩泉・酸性泉・単純泉など源泉・施設により異なる源泉の分析書で確認個々の分析書に記載地域の多様性を紹介する分類。一つの源泉や全浴槽の共通値ではない。[1][9]

源泉の分析と、浴槽で使う湯を読み分ける。

分析書の源泉名・採水場所・年月日と、施設が掲示する加水・加温・循環・消毒の方法を合わせて確認します。地域に複数の源泉がある場合、ひとつの値をすべての湯宿や浴槽へ当てはめず、訪れる施設の最新の掲示を読んで入浴します。

塩原元湯温泉・元泉館で提供された夕食の一例
塩原元湯温泉・元泉館で提供された夕食の一例Photo: zom / CC BY-SA 3.0

04 / ARCHITECTURE & TOWNSCAPE

御用邸の一室と、川辺へ開く湯の建築

塩原で見たい建築は、御用邸の移築保存から、湯っ歩の里の回廊、川に向けて建つ宿の窓まで多彩です。指定文化財と現代の施設を分けて読み、屋根や柱だけでなく、風景を眺め、湯から上がって休む場所と庭との距離のつくり方に目を向けます。[3][4][5]

塩原温泉・天皇の間記念公園の入口
塩原温泉・天皇の間記念公園の入口Photo: Abasaa / Public domain

天皇の間記念公園には、旧塩原御用邸の一部が1981年に原型のまま移築され、保存されています。市は同年の栃木県指定有形文化財と案内しています。大きな旅館とは異なる平屋の構えを見ながら、避暑のために滞在する部屋の大きさや庭との距離を感じられます。保存された対象はこの建物であり、温泉郷の全ての宿へ同じ指定を広げることはできません。

湯っ歩の里は、足湯を円い回廊に沿わせ、中央の池と外の景色の両方を眺められる施設です。座る場所の向きによって、同じ建物の中でも受け取る景色が変わります。温泉の建築を考える時、豪華な設備を増やすことだけが答えではありません。湯に触れた後の居場所や、人が並んでも落ち着ける距離をどうつくるかという、小さな工夫もよい参考になります。

もの語り館の上階からは、箒川と紅の吊橋を眺められます。温泉街の建物は、道路側の顔と川側の顔を併せ持っています。改修を考えるなら、客室だけでなく、窓辺、廊下、食事処からどの景色が見えるかを歩いて選びたいところです。外壁や看板、照明を決める時も、向かい岸から見た姿まで確かめると、川辺の連なりを大切にした計画になります。[3][4][5]

建物・街並み・湯の道具に残る価値
建物・場所年代・位置付け残したい特徴
塩原温泉天皇の間記念公園の建物旧塩原御用邸の一部を1981年に移築栃木県指定有形文化財として保存される、避暑と滞在の建築。[5]
湯っ歩の里現代の足湯施設中央の池を囲む回廊で、湯と内外の景色を同時に楽しめる。指定文化財とは別の施設。[3]
塩原もの語り館現代の地域交流・展示施設文学の展示と川辺の眺め、地域産品を結ぶ温泉街の拠点。[3][4]

05 / STAY THROUGH THE SEASONS

吊橋の先へ、季節と食堂を訪ねる

新緑の川辺、妙雲寺の花、紅の吊橋の紅葉。塩原の季節は、宿の窓と町の道を行き来して楽しめます。散策の途中でとて焼やスープ入り焼きそばに出会い、帰りには那須塩原の乳製品を選ぶ。一つずつ寄り道できる余白が、温泉郷での時間を豊かにします。[3][6][7][8][10]

春から初夏は、川辺の木々や寺の花に目を向ける季節です。妙雲寺の境内は牡丹でも知られ、文学碑を読みながら歩けます。花の時期はその年の天候によって変わるので、決まった日を目指して急ぐより、現地の案内で見頃を聞いて立ち寄るとよいでしょう。歩いた後は足湯や町の店で休み、山へ向かう長い行程と町歩きを同じ日に詰め込みすぎない旅が似合います。

夏の川辺では、水面の光や木陰の涼しさを楽しめます。ビジターセンターで自然や地形の展示を見てから歩くと、渓谷の岩や森も、単なる背景ではなくなります。雨の後には道の状態が変わるため、公開された歩道と当日の情報を使います。宿が案内する時は、お客様の靴や歩く速さに合わせ、橋を一つ渡る短いコースと長い散策を分けて提案できます。

秋は紅の吊橋付近の色づきが、川の両岸を結ぶ風景を際立たせます。冬には、外を歩く時間を短くして館内で歴史を読み、食事や湯にゆっくり時間を使う過ごし方もあります。名物のスープ入り焼きそばは、炒めたソース味の麺に醤油味のスープを合わせる一杯。食事のために町へ出る小さな目的があると、宿泊と地域の商いを自然につなげられます。[3][6][7][8][10]

春・初夏

寺の花と新緑

妙雲寺の花と、芽吹く川辺を訪ねる。花の状況を現地で聞き、文学碑と足湯を短い散策に組み合わせる。[3][10]

夏

水音と森を学ぶ

ビジターセンターの展示から渓谷へ。公開された歩道で地形と森を眺め、雨の後は道の案内に合わせて行程を変える。[10]

秋・冬

紅葉の橋から、湯と読書へ

秋は紅の吊橋の景色、冬は展示や読書と食事をゆっくり楽しむ。路面と天候に合わせて屋外の時間を調整する。[3][4]

塩原温泉・渡辺美智雄の胸像
塩原温泉・渡辺美智雄の胸像Photo: tan90deg / CC BY-SA 3.0

A WALK BETWEEN BATHS

湯の前後に、もうひと歩き。

文学と川の町歩き

  1. 塩原もの語り館
  2. 紅の吊橋
  3. 妙雲寺

展示を読んでから橋と門前へ。文人の石碑と川の景色を結び、歩いた後は町の店で一息つく。[3][4]

湯の建築を眺める

  1. 湯っ歩の里
  2. 古町
  3. 塩原もの語り館

足湯の回廊と街路、川へ開く窓を見比べる。日帰り施設と宿の建物の役割の違いが分かる道。[3]

避暑の記憶をたどる

  1. 塩原温泉ビジターセンター
  2. 七ツ岩周辺
  3. 天皇の間記念公園

自然の案内を得てから移築建築へ。現在公開されている道と開園情報に合わせ、見学と休憩を組む。[5][10]

TASTE OF THE REGION

とて焼

ふんわりした生地に店ごとの具を包む塩原の名物。甘味から食事系まで、町の店を訪ねる楽しみになる。[6]

TASTE OF THE REGION

スープ入り焼きそば

ソース焼きそばへ醤油味のスープを合わせる一杯。温泉街の食堂が育ててきた味を、昼の散策に組み込める。[7]

TASTE OF THE REGION

那須塩原の牛乳・乳製品

市内の酪農を背景とした牛乳やチーズ。塩原の源泉とは別の土地の営みを知り、帰りの買物にも楽しみを残す。[8]

開花や展示、見学の予定に合わせて、散策先を組み合わせてみてください。共同浴場や山道などの利用案内は、訪問前に公式サイトでご確認いただけます。写真は、それぞれの撮影時点の記録です。

06 / PRESERVING THE HERITAGE

川と十一湯を残す、六つの引継ぎ

守りたいものを川の景観、建物、敷地、源泉、営業、日々の手入れに分けると、相談先と資料がはっきりします。指定された建物の保存と一般の宿の改修を区別し、地区ごとの源泉と災害の履歴を踏まえて、次の担い手が続けられる範囲を決めます。[2][5][10]

塩原では、川に近いことが宿の魅力であると同時に、建物や避難の計画に関わります。所有者だけで判断する前に、建物の位置、擁壁、河川との関係、過去の補修を図面へ重ねます。湯治の村が災害後に移った歴史も、土地の条件を読む入口です。景色を残す仕事と、安全に営業を続ける仕事を一つの改修工程で考えると、投資の優先順位を付けやすくなります。

保存や改修の可否は、個々の建物と敷地で決まります。天皇の間のような指定対象は保存の担当部署へ、一般の宿は建築や消防の担当へ、計画図と現況資料を示して相談します。温泉の供給や営業許可も別に整理し、工事を始める前に関係者をそろえます。町の雰囲気を大切にしながら、厨房や配管など見えにくい部分を更新する道筋をつくります。[2][5][10]

01

川辺の景観と地域の記憶

箒川を挟んで見える外壁、照明、橋への道を、客室の改修と合わせて考える。対岸からの見え方も計画図へ残す。[1][3]

  • 川側と道路側の現況写真
  • 看板・照明の見え方
  • 市の景観・観光担当へ相談
02

建物の保存と改修の分担

天皇の間は県指定の保存対象。一般の宿では個別の建築資料を読み、同じ規制が温泉郷全域に及ぶと決めつけない。[5]

  • 文化財の指定対象図
  • 確認・検査・改修履歴
  • 建築・消防・文化財担当
03

渓谷の敷地と公開範囲

川に近い敷地、斜面、歩道への接続を現地と区域図で確認する。遊歩道や源泉へ、所有権や公開範囲を越えて案内しない。[2][10]

  • 地番と河川・斜面の位置
  • 防災・自然公園の区域照会
  • 現行の歩道情報
04

十一湯を一つの権利にしない

源泉の所有、配湯の契約、温泉利用の許可を施設ごとに受け取る。共同の管と自館の管の境界まで確認して引き継ぐ。[1][9]

  • 源泉・利用許可の資料
  • 配湯の契約と費用
  • 配管図と停止時の連絡先
05

営業の承継と建物変更

営業主体の変更と増改築を別の工程にし、保健所へ現況と計画を示す。許可証があることだけで、新しい使い方を決めない。[1][5]

  • 営業許可と申請図面
  • 改修後の部屋・浴場計画
  • 保健所・建築・消防の協議
06

湯守の経験を記録へ

源泉の性質に合う清掃、湯量調整、配管の点検を、担当者の実演と記録で残す。冬と繁忙期の仕事も年間計画へ入れる。[9][10]

  • 湯量・温度の運転記録
  • 清掃・部品交換の履歴
  • 担当と代替連絡先

残す部分と、
直す仕事を同じ図面に。

文化財の指定・登録、景観や公園の区域、建物の適法性、営業・温泉の許可は、対象と手続が異なります。用途変更の200㎡という面積基準だけで工事全体の要否を判断せず、工事の種類、規模、既存建築の状態を整理し、建築士と所管窓口へ同じ計画を示して相談します。[NAT02][NAT03][NAT04]

07 / MORE VALUE, WITH MEMORY

違う湯を選べる町を、滞在の魅力にする

塩原の再生を考えるなら、十一湯の違いと川沿いの道を、宿の外へ出かける理由に生かせます。文学を読む小さな居場所、町の食堂と組む食事、源泉と建物の段階更新。土地の資源を一つの大型施設へ集めず、無理なく行き来できる滞在を提案します。[3][4][9][10]

文人の資料を読み、実際の風景を歩いて、宿へ戻って続きを読む。そんな滞在には、客室に大きな設備を足すより、静かな閲覧場所やよい照明、乾いた靴を置く場所が役立つことがあります。もの語り館や寺の公開範囲を尊重しつつ、旅の前後で読める案内を整える提案です。地域の担い手と内容を確かめれば、文学を名前だけの飾りにせず届けられます。

建物と湯の更新は一度に全て行う必要はありません。先に雨漏りや給湯、清掃動線を整え、使う客室を絞って試し、町へ出る案内を加える進め方も考えられます。源泉の停止や冬の道路を含めた運営費を見積もり、日常の仕事を受け持つ人を決めます。以下は地域の特徴から組み立てた計画の案であり、特定の宿で実施された事業や収益の報告ではありません。[3][4][9][10]

MODEL 01

文学と川辺の連泊拠点

もの語り館や門前を歩いて宿で読書を続ける滞在を考える。静かな共有席、照明、雨具や靴の置場を整え、長く過ごす客室を段階的に試す提案。[3][4]

MODEL 02

町の食堂とつながる宿

夕食を宿で取る日と、町で味わう日を選べる設計を検討する。店の受入れと営業条件をすり合わせ、案内・予約・取消を宿の担当が引き受ける。[6][7]

MODEL 03

源泉と建物の優先更新

先に給湯、雨漏り、避難、清掃を整え、使える客室から再開する案。源泉ごとの保守と冬の費用を見積もり、外観の改修と設備更新を同じ工程表へ置く。[2][5][9]

改修費と、続けるための資金。

塩原の宿の計画では、購入や内装だけでなく、源泉と配管、川辺の建物、冬の管理、営業が落ち着くまでの費用を見積もります。工事中に使えない客室と入金の時期を月ごとに置き、段階的に営業する場合も、残す現金と担当者を決めます。

補助や融資を検討する時は、文化財の保存、設備更新、観光の取組を同じ制度へ一括りにせず、対象と手続きを分けます。地域の価値は計画の背景になりますが、採択や融資、利益の保証にはなりません。具体的な工事と運営の資料をそろえて相談します。[1][5][9]

設備資金・運転資金、事業の対象、組合等の条件により融資制度は異なります。実際の費用と営業計画をそろえ、融資・補助金の募集条件と支払時期を確かめて資金繰りを組み立てます。[NAT05][NAT06]

08 / MARKET & RELATED GUIDES

県全体の数字と、川辺の宿の季節を分ける

栃木県の宿泊統計を入口にしても、塩原の宿の需要は、地区、交通、部屋、食事、散策の組合せで変わります。紅葉の日だけを見るのではなく、春の花や夏の自然、冬の館内滞在まで並べ、泊まる目的と一日を支える仕事から計画を確かめます。[1][3][4][10]

十一湯の中でも、町へ歩いて出られる宿と、山あいで静かに過ごす宿では、必要な案内や食事の売り方が変わります。県の集計値をそのまま自館へ移さず、予約の曜日、連泊、交通手段、食事の有無を地区の条件と一緒に記録します。紅葉期の来訪を平日の宿泊へどうつなぐかも、料金だけでなく、散策と食堂の利用時間を含めて検討します。

取得や引継ぎの試算には、源泉と配管の手入れ、川沿いの建物の点検、冬の管理、客室の清掃を置きます。売上が多い月と支出の大きい月を並べれば、必要な運転資金を考えやすくなります。資料展示や足湯のような地域施設の利用は、宿の売上と同じ指標ではありません。宿泊、日帰り、地域の回遊を分けて読むことで、温泉郷の動きを丁寧に捉えられます。[1][3][4][10]

観光庁2025年1〜12月確定値/都道府県全域の値
対象延べ宿泊者数外国人延べ宿泊者数外国人構成比リゾートホテル客室稼働率
栃木県全域11,092,840人泊475,800人泊4.3%53.0%

外国人構成比は外国人延べ宿泊者数÷全体から算出。いずれも都道府県全域の統計で、この温泉地単独の集計や個別施設の売上・稼働率を示すものではありません。[MK01]

栃木県全域の、
月別の宿泊者数。

県全域の季節変動を、その宿の客層や営業日、月別の販売実績と重ねます。地域全体の動きと個別の宿の運営を行き来しながら、滞在と事業の計画を考えます。

栃木県の宿泊市場特集へ →
栃木県の月別数値を表で確認する
栃木県全域/2025年月別延べ宿泊者数
月人泊
1月683,420人泊
2月676,640人泊
3月927,520人泊
4月867,630人泊
5月967,980人泊
6月815,610人泊
7月955,800人泊
8月1,291,380人泊
9月941,130人泊
10月1,070,660人泊
11月1,048,590人泊
12月846,480人泊

09 / QUESTIONS

塩原の湯と宿を受け継ぐ前に

十一湯という総称、源泉ごとの利用、指定文化財の範囲、旅館業の営業手続。塩原で計画を進める時に混ざりやすい論点を、場所と資料へ戻して整理します。紹介する宿や施設が売却対象であるという意味ではなく、地域の価値を理解するための問いです。[1][5][9]

塩原十一湯は同じ泉質ですか。

十一の地区をまとめた温泉郷の呼び名で、源泉や泉質は多様です。泊まる施設の源泉名、分析書、浴槽の利用方法を読み、その湯の特徴として紹介します。[1][9]

塩原の宿は全て文化財ですか。

天皇の間記念公園の建物には県の指定がありますが、その指定を一般の宿へ広げられません。対象の名称と範囲を確かめ、改修計画に合う担当部署へ相談します。[5]

源泉付きの建物なら温泉を自由に使えますか。

源泉の権利、配湯契約、利用許可、日々の管理は分けて調べます。十一湯全体の説明を個別施設の権利へ置き換えず、契約と設備の資料を受け取ります。[1][9]

古い宿の再生は外観から始めますか。

残したい景色を選ぶと同時に、給湯、雨漏り、避難、清掃など営業を支える条件を点検します。建物と源泉の更新を同じ工程で考え、段階的な運営も比較します。[2][5][9]

10 / PASS IT ON

まず、川を渡って一地区ずつ歩く

もの語り館で歴史の入口に触れ、紅の吊橋と門前の道を歩き、泊まる宿の湯の表示を読んでみてください。次の担い手として考える時も、この体験が出発点です。残したい景色と必要な更新を言葉にし、図面、源泉、営業の資料をそろえて計画を具体化します。[1][3][4]

残したい建物、引き継ぎたい仕事、守りたい屋号。今ある価値と、次に必要な手入れを言葉にするところから、宿の承継は始まります。

OWNERS

歴史ある湯宿を、
非公開で次へつなぐ。

施設名を伏せた下書きから、現在の営業、建物、温泉の条件を整理できます。公開を始める前の段階からご相談ください。

NEXT KEEPERS

受け継ぎたい価値から、
取得の条件を考える。

地域、予算、運営する人、必要な改修。大切にしたい文化と、続けられる事業の条件を整理して、次の宿との出会いに備えます。

売却・承継の前に、無料の計算ツールで手取りや税の目安を確かめられます。非公開での売却・保全のご相談はエージェントに相談、ご自身での登録は物件を登録からどうぞ。

編集:ジャパンリアルター株式会社 / 堤 誠之プロフィール / TSUNAGUの想い / 代表者note ↗

出典・写真・編集について

本文・統計の出典

  1. [1] 那須塩原市|塩原温泉

    十一湯の地区、温泉郷の歴史、田山花袋と温泉郷という表現。

  2. [10] 塩原温泉ビジターセンター|公式案内

    渓谷の自然・地質・歩道を学び、現地の自然情報を得る施設。

  3. [2] 塩原商工会|養生としての湯治の歴史

    開湯伝承、湯銭の記録、1659年の災害と新湯への移住。

  4. [3] 観光庁|温泉街観光コース

    妙雲寺、門前、古町、もの語り館、湯っ歩の里を結ぶ道。

  5. [4] 塩原もの語り館|公式案内

    温泉史と文人の資料展示、観光案内、地域産品を扱う施設。

  6. [5] 那須塩原市|塩原温泉天皇の間記念公園

    旧塩原御用邸の天皇の間の移築保存と県指定有形文化財。

  7. [6] 塩原温泉観光協会|とて焼

    塩原の店ごとに具を工夫する、とて焼の食文化。

  8. [7] 塩原温泉観光協会|スープ入り焼きそば

    ソース焼きそばと醤油味のスープを合わせる地域の料理。

  9. [8] 那須塩原市|牛乳・乳製品・チーズ・お肉

    市の畜産を背景とした牛乳、乳製品などの特産品。

  10. [9] 観光庁|令和7年度地域観光資源の中国語解説整備支援事業・塩原

    塩原十一湯の泉質の多様性、源泉と文学・自然の解説。

  11. [MK01] 観光庁|宿泊旅行統計調査・2025年確定値

    都道府県全域の2025年年計・月別データです。各温泉地や個別宿の実績ではありません。

  12. [NAT02] 国土交通省|既存建築物の活用の促進

    既存建築物の現況調査、改修と活用のためのガイドライン・制度資料を掲載しています。

  13. [NAT03] e-Gov法令検索|文化財保護法

    文化財の指定・登録、保存、現状変更と所有者変更などに関する法律の本文です。

  14. [NAT04] 環境省|国立公園における届出・申請

    区域と行為に応じて必要となる自然公園法上の許可・届出を案内しています。

  15. [NAT05] 日本政策金融公庫|一般貸付(生活衛生貸付)

    生活衛生関係営業の設備資金等について、対象と条件を案内しています。

  16. [NAT06] 日本政策金融公庫|振興事業貸付

    認定振興計画を持つ組合の組合員を対象とする融資と必要な証明を案内しています。

確認日:2026年10月29日。伝承、史料、分析値、建築・保存の記録と、編集上の再生提案を分けて記述しています。

写真の撮影地・利用条件

写真は各配布元の利用条件に従って掲載しています。撮影時点の景観・設備であり、現在の営業状況や、紹介施設が売却対象であることを示すものではありません。

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